信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

待つこと

 『学び合い』の考え方は,授業が始まったら有能な子どもたちに任せて,彼らの主体的な活動を待つことが良さです。ああだこうだと言わずに,ただ待つことです。遠慮しなくてもいいんだよ,と言いながら。ただ,その,待つ,という行為に臨むに当たっては,完璧な準備をしておかなければならないことは言うまでもありません。それを怠ったならば,いつまで待っても何も起こりませんし,始まりません。
 果報は寝て待てとよく言われますが,それはただ待っていてもダメなのであって,寝て待つまでに必死の努力と完璧な準備が必要であることを我々に肝に銘じろよと暗に示唆してくれている表現です。『学び合い』の考え方は,子どもたちに任せることだということを印象的に長期記憶に入れてしまうとそれこそ大失敗となって終わります。それこそ,肝に銘じておきましょう。
 待つという行為は,授業のときに公にされるので参観者にはよく分かることですが,待つ行為に至るまでの血のにじむような必死の努力と幾多もの苦労を乗り越えてきた奮闘は,誰にも分かってもらえないことです。かといって,けっして手を抜いて怠ってしまっては取り返しの付かないことになりますから,誰にも見えないところで力を尽くしましょう。授業は,人に見てもらうためにやるものではなく,子どもたちのためにあるのです。