信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

経験から学んでいる

 我々は,意図しようがしまいが様々な経験を積みながら生活しています。経験を積む前に学習することもあれば,つまり学習した上で経験を積んでいくこともあれば,特に命に関わることはそうかもしれませんが,経験を積んでその経験に基づいて学習していくこともあります。学習理論の古くは,スキナーのオペラント条件付けやソーンダイクの試行錯誤説を思い出させてくれます。パブロフの犬はどなたも大学生の心理学の講義で一度は聞いたことのある内容であろうと思われます。
 日常生活や業務活動の下でも,その経験が快や利益を生み出しているモノであるならば,それを続けようと試みます。なぜ,その結果が得られたのかをリフレクションして次に試みるときには意図的に行動を起こし,快や利益をもっともっとと求めます。その度合いが高いモノであればなおさらのこと,もっともっと手に入れたいものです。
 一方で,その経験が不快や被害をもたらすものであるなばら,私にもいやというほどそれこそ経験がありますが,絶対にその結果や経験を避けようと善処します。なぜ,そのような不快や被害が生じたのか,その原因を究明し,その原因を取り除こうと力を尽くします。その不快や被害が極めて甚大なものであるならば,なおさらのこと,絶対に二度と経験しないようリスク管理を徹底します。
 日常生活や一般社会の業務活動においては,それは当たり前のことです。それでは,学校現場ではどうでしょう。
 私たちのような数多くの経験を積んでいるであろうと思われる人間でさえ,そのような完成された行動様式がないのですから,まして小中高の児童生徒のみなさまであればなおさらかもしれません。トライアンドエラーを起こしたとしても,経験が貴さを増します。
 毎日のすべての教科等の授業の中で,繰り返し経験していくことが尊いです。『学び合い』の考え方では,まさにこの試みを毎単位時間で取り組んでいます。全員が目標を達成したとしたならば,なぜそのような成果を得ることができたのかをリフレクションして次には意図的に挑戦します。一方,全員が目標達成できなかったとしたら,その原因究明をリフレクションして次には改善を図ります。まさに,我々が日常そして一般社会の中で行っていることそのものを授業の中で取り組みます。学校生活において経験するそれら一連の経験の積み重ねがやがて20年後の彼らの人生に大きな利益をもたらします。