『学び合い』教育学
会話は話し手と聞き手によって成り立ちます。ところが,情報が伝わるか伝わらないかによってやっかいな現象を引き起こされます。情報を伝える側のバイアスと情報を受け取る側のバイアスが異なっていることに依存するのかもしれません。 話し手が話したことを…
先日,本学部の臨床経験科目の一つである授業において,3年次生がこの1年間のリフレクションをしました。何を学んできたのかを,一度立ち止まってリフレクションし,自己更新を図っていきます。 その中で,たくさんの学びが披露されましたが,印象に残ってい…
『学び合い』の考え方を使った授業をしなくなって久しくなったとします。あるいは『学び合い』の授業ではありませんといわれる授業があるかもしれません。そんなときは,果たして『学び合い』ではなくなったのでしょうか?『学び合い』ではない授業になって…
私たちの理解の仕方は千差万別です。したがって,わかり方も十人十色です。そんなことは百も承知なのですが,説明しても分かってもらえないとがっかりするのは頭で分かっていても感情が伴っていない証しでしょう。 人によって文脈が異なりますし,持っている…
日本の学校での授業において,自分で考えて判断して行動できる授業がどれだけあるでしょうか?ほとんどの学校の授業は,考えているようでいてそれは実は先生に考えさせられているのではないかと思ってしまいます。換言すれば,先生が考えてほしいことを子ど…
学校訪問していると気づくことがあります。その一つが,答えや自分の考えを書き記したノートやプリント等を,相手に見せないように隠す子どもたちがいることです。その子どもたちに調査をしたわけではないので,自分の過去の経験から導き出したものなので,…
みんな違っていて当たり前の文化と,みんな同じで当たり前の文化があります。どちらの文化も素晴らしい文化です。私たちがどちらの文化の文脈で育ってきたのかによって,その文化の良さを享受しています。異なる文化に触れたとき,自らの文化の良さを感得し…
『学び合い』の考え方は,相手に行動を起こすために考える時間を与えること,そして行動を起こさせることを保証している点が特徴です。何事も自分でやってみなければ分かりませんし,身につかないことは自明です。それが,アウトプットの神髄です。当然のこ…
誰しもミスはしたくないものです。失敗もできるなら避けて通りたいという気持ちが何より優先します。私もこの年になってもそうです。すべてうまくいって成功に収められるに越したことはありません。しかしながら,そうそうにそのようなことが起きることもな…
夏休みが終わりましたから,子どもたちは自分で立てた計画に従って頑張ってきた成果を持ち寄ったことと思います。思えば,私も毎年夏休みになると,学校の担任の先生に言われて2つの計画を立てたものです。一つは一日の過ごし方の計画,一つは30日に及ぶ夏…
子どもたちが話し合うときにどんな会話が現れるのかを調べた研究があります。その研究成果が発表されたのは,今から25年も前のことです。二昔も前のことなので,もう知る人も少なくなっていることでしょう。しかしながら,貴重な成果なのでいつまでも色褪せ…
『学び合い』の考え方が全員に共有されると,授業中の会話の中にいわゆる経験交換ケースの会話が有意に多く現れます。それが,『学び合い』の考え方による授業なのか,『学び合い』の考え方による授業ではない授業なのかの,分岐点です。つまり,『学び合い…
ある記事で,弱者と強者の違いに関するスポーツ心理学者のコメントを読む機会がありました。 弱者はないものを望むのだそうですが,強者はあるものをどうすべきかを考えるのだそうです。長い内容の文章の中から一部を切り取っているだけなので,真意はうまく…
デンマークは世界一幸せな国と言われる国です。毎日,午後4時00分には会社に誰もいなくなってみんな退勤する国として知られていますが,評価は世界の中でもトップです。先日,図書館で偶然,デンマークの本を見つけて読む機会がありました。 デンマークがな…
『学び合い』の原点は,子どもたちが有能であることを信じること,我々は同僚として折り合いを付けながら目標達成することの2点です。子どもたちが有能であることを信じることができれば,彼らに任せることができるはずです。任せることができていないと言う…
形をなぞればできるものは取り組みやすいと感じます。しかしながら,取り組みやすいだけに形にとらわれがちになり,いずれ形をなぞることが目的になりかねないでしょうか。形にはめようとするあまり,形に当てはめることを目的化していく過程が散見されます…
一昨日,昨日に続いて,先日の学部3年次生の臨床経験科目からの話題です。指導主事が「一人も取り残さない授業」という言葉で語っていましたが,この「一人も取り残さない授業」と我々がすすめている『学び合い』の考え方による授業,つまり「一人も見捨てな…
本学は教員免許取得希望学生に対して,学部1年次から臨床経験科目を履修できるカリキュラムを用意しています。先日は,学部3年次生の臨床経験科目の授業での1コマです。近隣の教育事務所から4名の主幹指導主事・指導主事を招いて学級づくり,授業づくり,目…
○すべての子どもたちが友だちを一人も見捨てない授業(すべての児童生徒が他の児童生徒を一人も見捨てない授業)○すべての子どもたちが自分たちで自己評価できる授業○何をさせたいのか,させたいことを誤解なく示す授業○集団の中での状況を分からない子が一人…
『学び合い』の考え方に限らず,学習者の理解を促す上では,アウトプットする行為として,クラスの周りに行く友達に説明してあげることが進められます。アウトプットが友達への説明だけではないですが,対話的な試みとして重宝されます。一般的に,自らのイ…
『学び合い』は考え方です。手立てやスキルではありません。初めての方がこの考え方に触れて授業をされる場合には,どうしてもスキルを求めようとするので,躓いてしまうことがあります。あくまでも,考え方なのでその考え方に共感してさえもらえれば,どの…
『学び合い』の考え方で授業を始めると,授業者が期待してるような様態が現れないことがあります。啓蒙書に書かれているようにならないのです。授業者としては,書かれているとおりにやっているのですから,困ってしまいます。失敗例の本も出ているので一読…
つい先日も道路を歩いていて,話していた相手に「ほらそこに書いてあるじゃん」と言われた経験をしました。「ほら,そこに書いてあるじゃん」「えっ,どこに」「ほら,そこに」「えっ,どこ?」「ほら,そこに書いてあるじゃん,そこ」「えっ,書いてないよ…
失敗から学ぶことがよくあります。期待していた結果が得られなかったときに,なぜ想定通りに事が運ばなかったのかその理由を分析するからでしょう。しかしながら,原因を特定することはとても難しいことなので,そう簡単には原因は分かりません。そうなると…
学部の授業では,学校での1単位時間の授業を構想し実践するときには時間配分のバランスが重要で大切であると語ります。授業を構想し,実践するときには,45分なり50分なりの単位時間の中で導入,問題設定,仮説,方法の検討,課題設定,観察,実験,考察,ま…
つまずきは突然やってきます。困ってしまうようなことも,いきなり目の前に現れます。昨日までよかったのに,とか,この前はうまく,ちゃんとやれたのに,とか。それも,なぜつまずいたのか,どうして困ってしまう状況になったのか,その理由がよく分からな…
私たちは社会的な状況に依存して生きています。異なる社会的な状況から組み込まれたとしたならば,はじめは戸惑うことが多いことと思います。戸惑うと言うことはすでに,それ以前の社会的な状況に対して,いわゆる慣れ親しんでいる,つまりそれまでの社会的…
火事場の馬鹿力という表現があります。私は小さい頃から,確か,火事場の底力として覚えた記憶があります。同じ意味です。調べてみると「切迫した状況に置かれると普段には想像できないような力を無意識に出すことのたとえ」として使われています。なんとか…
何かに挑戦して期待通りの結果が得られたとき,あるいは期待通りの結果が得られなかったときに,私たちはリフレクションをします。その結果に至ったのはなぜなのか,その理由を解明しようとします。後者の場合はごく一般的に行われ,改善して次に臨んでいき…
自分でやった方が早い,という表現はあちこちで耳にします。先日も,あるところで耳にしました。かく言う私も,『学び合い』の考え方に出会う前は,誰かに任せるよりも自分でやった方が早いと思っていた頃がありました。忙しかったときに,手伝いましょうか…