一昨日,昨日に続いて,先日の学部3年次生の臨床経験科目からの話題です。指導主事が「一人も取り残さない授業」という言葉で語っていましたが,この「一人も取り残さない授業」と我々がすすめている『学び合い』の考え方による授業,つまり「一人も見捨てない授業」は何が違うのか,です。
『学び合い』ライブ出前授業に行ったときにも,訪問した学校の研修会で語らせてもらうことがあります。それは,「一人も取り残さない授業」(誰一人取り残さない授業)と「一人も見捨てない授業」の違いです。
言わせてもらえれば,両者は主語が違います。前者はSDG'sの誰一人取り残さないという言葉から来ているものと解釈できますが,その主語は教え手(指導者・授業者)です。一方で,後者の主語は学び手つまり被指導者(児童生徒等)です。
したがって,誰一人取り残さない授業(一人も取り残さない授業)は教師の頑張りに依存し,児童生徒には求めません。それに対して,一人も見捨てない授業は児童生徒の頑張りに期待しますから,全員の児童生徒に対して友だちを一人も見捨てないように強く求めます。大きな違いです。
SDG's→「誰一人取り残さない(leave no one behind)」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html)
主語=教え手(指導者,教師,授業者)
「教え手が学び手を誰一人取り残さない」
→指導者が一人で頑張ればなんとかなる。被指導者には求めない。
『学び合い』→一人も見捨てない教育(三崎2010)
主語=学び手(児童生徒学生,授業を受ける者,被指導者)
「学び手が他の学び手(友だち・同僚)を一人も見捨てない」
→被指導者(児童生徒等)全員に強く求めるので,学び手が全員頑張る必要がある