信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

子どもたちの凄い学びに舌を巻いた

 『学び合い』の考え方を先生方が全員で共有されて授業実践に取り組んでいる学校におじゃまして,数学と家庭科の『学び合い』の考え方の授業を参観してきました。先生方全員で考え判断して研修を推進しているだけあって,私の出前授業を遙かに凌駕する見事な授業が展開しています。それこそ,見ている者が惚れ惚れする特筆すべき王道ものです。実に素敵な子どもたちが育っていて,彼らの学びに舌を巻きながら帰路についています。常日頃のみなさまの子どもたちと向き合う真摯な姿勢とエネルギッシュな研究推進に対する研ぎ澄まされた研鑽に敬意を表します。機会をくださった校長先生に心から感謝します。
 参観したのは第2学年の子どもたちでしたが,見ている者を痺れさせてくれる学びの様態を見せてくれている子どもたちでした。日本一の『学び合い』学校です。通常,教える行為というのは分かっている子が分からない子に対して知っていることを一方的にしゃべり続けるものですが,この学校の子どもたちは全く違います。分かっている子が分からない子に対して同じ目線で同等に語りかけて,分からない子に思う存分しゃべってもらっています。まさにこれぞ”教える”見本だと言わんばかりです。えーっ,なんなんだこの子たちは,と思ってしまい,跪いてずっとその子の側で彼らのおしゃべりを聞かせてもらったほどです。
 「えっ,なんで?」とか「なんでこれが6になるん?」とか分からない子が問いただしています。一方,分かっている子は「ということは?」とか「そこまでわかったんやろ。そしたら,これで言ったら?」とか「ここ,なんぼになる?」とか分からない子のおしゃべりをどんどん引き出してくれています。もう,感涙です。こんな『学び合い』をいったい誰が教えたのでしょうか?これだけでも凄い学校であることが十二分に伝わってきます。それに加えて,集中力,協働力,挑戦力が抜群で,動と静のメリハリが見事でそれでいて明るく闊達で気さくで笑顔満点,優しさ溢れ,ジェンダーどこ吹く風なのですから,恐れ入ります。
 教室に貼っていちばん最初に目について感激してメモした言葉があります。
 一つは,第2学年の目標です。「認め愛」それに「認め愛,学び愛,支え愛」が続きます。涙が出ました。この学年のこの目標は,校長先生にお聞きしたところ,入学から卒業まで一貫しているそうです。この学年にしてこの子たちあり,なんだなあと納得しました。先生方が,入学以来,一貫して認め愛を大切にして育ててこられた気持ちが強く伝わってきました。有り難く思います。『学び合い』の考え方は,相互承認観を育てることを大切にしていますから,この学年の認め愛はまさに王道と言えます。エクセレント!です。
 もう一つが「前向きに挑戦」です。『学び合い』の考え方でトライ・アンド・エラーしますが,トライがなければ前には進めません。その意味ではここでもまさに『学び合い』の考え方を大切にしていただいていることが良く伝わってきて,本当に嬉しかったです。ここでもまた,この先生方にしてこの子どもたちあり,を肌で感じてきました。
 事前に指導案を見せてもらいましたが,完璧です。授業中の目標提示,環境構成,可視化も完璧,評価方法・評価基準,条件提示も完璧,私より上手です。この学校の先生方は,こんな完璧な『学び合い』の授業をいつでも何回でも参観することができるのですから,幸せです。
 この学校,実は『学び合い』の考え方に取り組み始めて7年目の学校です。本年度の研修の方向性も,先生方がみなさんで考えて決めて進めてきているものであるとのこと。こんな素晴らしい先生方がいるからこそ,日本一の素敵な子どもたちが育つのでしょう。いやあ,帰路の途中ですが,まだまだ興奮が冷めやらない状況です。また会いたいです。