信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

『学び合い』の効果ですか?

 『学び合い』の考え方を全員で共有して授業を行ったときに成果を上げると,よく言われることは,それは『学び合い』の考え方の効果なのですか?です。ご指摘の通り,挙げた成果が『学び合い』の考え方によるものであるのかどうかを結論づけることはなかなか難しいことです。それは決して,『学び合い』の考え方だけに限ったことではありません。効果をもたらすであろうと考えた仮説に基づいて授業実践をした場合,その仮説が有効であったのか否かを議論する上では慎重にしなければならないことは言うに及びません。
 『学び合い』の考え方を共有しなくても成果を上げることができているとするならば,それは『学び合い』の考え方による成果であるとは言えません。試みた指導法についても同じ事が言えます。実践する者としては,『学び合い』の考え方なんだから,それは『学び合い』の考え方の効果でしょう,と考えたくなりますがそれを実証するためには,相当の労力を要します。ですから,なかなか実証されることはまれであると言えます。
 通常は,これまでさまざまな指導法が試みられてきましたが成果を上げることができなかったのに対して,『学び合い』の考え方を使ったとたんに成果を上げることができたという視点から議論されることが多くあります。やはり,比べてみないとなんとも言えないからです。実験群と統制群を設定できれば良いのですが,学校現場では教育的に避けられることが多くあります。
 それまでの自分の行ってきたスタイルの授業実践と比べてもあまり変化がはっきりと現れないとするならば,成果を疑い始めることは致し方ないことなのかもしれません。授業実践で成果を上げることはできますが,その成果が何によってもたらされたのかを特定することは,これまでもお伝えしてきましたとおり,なかなか難しいことです。