信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

教師のパラダイム転換が必要

 『学び合い』の考え方のいちばんの特徴の一つは,教師のパラダイム転換です。私のこれまでの経験上,日本の学校教育においては,通常,一度教えたら分かって当たり前という前提で授業が行われているのではないかと思われる節があります。少なくとも,大学の小学校免許,中学校免許取得のための教科教育法では,大方がそのように教えられてきているようです。
 どの教科でも,大学での授業づくりは,誤解を恐れずに言わせてもらえれば,一種の授業展開のレールづくりであるとも言えます。そこでは,レールから脱線したり分岐したりすることは想定されていません。想定せずに授業づくりをおこなうのが通例となっています。そんなことをしていたら,学生のみなさまが授業実践がおぼつかなくなりかねないからです。
 一度教えたら,一度情報を提供したら,一度見せたら,一度観察,実験させたら,一度パフォーマンスさせたら,子どもたちは理解できる,演技できる,完遂できるという仮定の下で授業をします。万が一,それで理解できない,パフォーマンスできないことがあったとしたら,それは子どもたち自身の努力に委ねられます。教師としてはちゃんと一度指導したのですから。
 しかしながら,『学び合い』の考え方は,パラダイム転換です。一度教えてもできなくて当たり前と考えるのが『学び合い』の考え方の根底にあります。トライ・アンド・エラーを起こしてもいいんだよ,何度でも,と。誰に助けてもらってもいいから,最後にできていればOKなんだよ,と。そのパラダイム転換ができるかどうかが教師に問われていると言えます。
 パラダイム転換を受け入れて共有できる教師にとっては,『学び合い』の考え方は納得できますが,そうでない教師にとっては受け入れがたい考え方と言えそうです。あなたはどちらでしょうか?