信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

私たちが使う4つの会話ケース

 私たちは,授業のときに交わされる会話を古田・西川(2001)にのっとって,4つに分類しています。無関心ケース,強制ケース,安易合意ケースそして経験交換ケースです。13日の日本科学教育学会第4回研究会のときのB4のみなさん4人もこの4つのケースを使った分析結果を発表したところです。なぜ,この4つになるのでしょうか。それは原典をあたっていただければよく分かることですが,ゼミ生のみなさんに対して全体ゼミで語ることは,話し手と聞き手によって決まることです。
 話し手が根拠を以て話しているかどうか,聞き手が納得して聞いているかどうか,前者が2つ(根拠をもって話している,根拠なく話している),後者が2つ(納得している,納得していない)現れます。それを2軸に落として整理すると4象限にそれぞれ根拠の有無と納得の有無の場合分けができます。話し手が根拠なく話していて聞き手は納得していない,話し手が根拠を持って話していて聞き手は納得していない,話し手が根拠なく話していて聞き手は納得している,話し手が根拠をもって話していて聞き手が納得している,の4つです。これが,それぞれ,無関心ケース,強制ケース,安易合意ケース,経験交換ケースとなります。
 学び合いやグループ学習の場合には,経験交換ケースが現れません。小学校第1学年では無関心ケースが多く現れ,第4学年では強制ケースが多く現れ,第5学年では安易合意ケースが多く現れます。『学び合い』の考え方を使うと,経験交換ケースが多く現れます。それが『学び合い』の考え方でもあると言えます。換言すれば,経験交換ケースが現れなければ,『学び合い』の考え方を使っているとは言えないと言うことになりますし,経験交換ケースが現れる授業であれば『学び合い』の考え方と言ってなかったとしても,『学び合い』の考え方を使っていると同等の効果を生む授業であると言えます。