小学校のときに学ぶ内容を大学生を対象として尋ねてみることがあります。小学校の時に学ぶのだし，中学校でも学ぶし，大学生にも成っているのだから，理解しているのではないかと一般的には思われます。発達段階に応じて見方が広がったり理解が深まったりするでしょうから，それも一理あるのかもしれません。日本の学校教育の場合には，直線的に学ぶ内容が並んでいるわけではなく，小学校で学ぶ内容に関連して中学校で学ぶ内容が出てきます。中学校で学ぶ内容は小学校で学ぶ内容に基づいて行われているわけです。ですから，スパイラルに学ぶことができるように工夫されているわけです。
ところが，実際に調査してみると，そうでもない事実が見えてきます。忘れてしまうこともありますから，返って大学生よりも中学生の方が理解が進んでいることもあるでしょう。特に，中学校で学んだが最後，それ以降に学ぶ機会がないようですとそのような状況が生じやすいと推測できます。一方で，小学校のときの認識のままのこともあります。関連する内容を中学校や高等学校で学んでいるはずなのですが，小学校の時に獲得した認識はそのまま維持されてしまうこともあります。私たちの認識というのは，なかなか難しいものです。
