信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

スキー授業

 みなさまはスキーをされたことがあるでしょうか?私は雪国育ちなので,小学校第1学年から高等学校第3学年までの12年間にわたって,学校教育においてスキー授業を受けてきました。水泳の授業もそうかもしれませんが,スキー授業を行うに当たっては,事前にレディネス調査が実施されます。つまり,どの程度滑ることができるのかを自己申告させて,その技術程度に合わせていくつかの能力別グループに分ける作業を行うのです。全く滑ったことがなく,初めてスキーの板を身につける子どもたちと,ゲレンデの一番上からビュンビュンとウェーデルンによって滑ってくることのできる子どもたちとでは,単位時間の中で同じ内容の指導を受けることが難しいからに他なりません。私はいつも中の下くらいの技術グループでしたが。そんな12年間を過ごした経験から,スキー授業には予習が欠かせないということを学んでいます。
 さて,学校教育における他の教科,他の内容,他の単元ではどうでしょうか?
 小学校第1学年の国語ではどうでしょう。算数は?音楽は?・・・。事前にレディネス調査が行われ,入学時点で修得している一人一人の国語の能力に合わせて能力別グループが編成されて授業が展開されているでしょうか。否です。おそらく,そんなことをしたら不公平であり全員が同じ内容を平等に受けるべきだという声が聞こえてきそうです。それならば,スキー授業はなぜ,全員に同じ内容を教授しないのでしょうか?なぜ,能力別グループを作ることが当然のようにして展開しているのでしょうか?スキー授業は,不公平ではないのでしょうか?スキー授業と国語とは別物だという声が聞こえてきそうです。はたしてそれは公平だと言えるのでしょうか?
 生まれたそのときから,すべての子どもたちがすべてに万能であって,小学校入学時には全員が単位時間の中であっという間に教師が期待するようにすべてを解決することは考えにくいことです。みんな違っていて当たり前なのですから,得意なこともあればなかなか得意であるとは言えないこともあります。みんな違っていて当たり前の下,違っているみんなのことをみんなで認め合って学ぶことのできる環境を築き上げたいものです。