信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

相手の文脈を大切に

 海外青年協力隊である国・地域に赴任した人が自ら修得した農業技術を伝達してこられたそうですが,現地の方はその技術の一部を使って現地の風土にあった文脈で技術活用されたという報道がありました。別の報道では,犬小屋が古くなっているので新しい犬小屋を作ってあげたところ,その犬は以前から使っている小屋にずっといたとのことです。

 自らの価値観に沿って良かれと思ってすることがありますが,それが相手,してあげた先の人や集団にとって満足できるものであるかどうかは,実施した側が判断することではなく,実施してもらった側が判断するものなのです。相手の文脈を考えずに,相手の考えも聞かずに実情も把握せず,臨床調査も行わずに,こちらの文脈を示したり実施したりしたとしても,結果が伴わないことがあります。相手の文脈を大切にしなければならない事例です。

 学校現場においても,似たようなことが起きてはいないのでしょうか。良い指導法であると判断して処方することがありますが,その”良い指導法”は誰にとっての”良い指導法”なのでしょうか。教材開発の事例は数多く報告されますが,その教材開発はだれのための教材開発なのでしょうか。