信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

伝わらない

 自分のみの周りで起きていることを相手に伝えることはなかなか難しいことです。どの文脈から語り始めたらよいか迷うところです。それは何も語りに限らず,論文も同じことです。緊急を要する場合は尚更です。

 「はやいよ」とか「あついよ」などという音の場合は,文脈を共有していなければ間違いなく相手に伝わりません。

 特に,自分の身体に異常を来しているときなど,その症状を相手に伝えることは難しい物です。何回か経験している痛みや変化であればまだしも,はじめての経験となればそれを一般化して症状として伝えることはすぐにできるものではないような気がしています。現象をそのまま伝えることはできますが,その一般化された名称と今の現象がずれていないのかどうかを判断するのは一致させるまでの時間が必要です。痛みの場所を特定することと同様,難しさを感じます。

 おそらく,学校現場ではじめて学ぶ子どもたちも,何が分からないのかを尋ねられても,はじめての経験であるだけに自分が分からなくなったそのことをどうやって伝えたら良いのか迷うことではないかと思うところです。おそらく言っても分かってもらえないだろうなあ,と思っているでしょう。そんなときは,その子と一緒にその目標に向かってそばで取り組んでみることです。いわゆる臨床です。その子の痛み,分からなさが少しは分かるのではないでしょうか。