信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

語り始めは文脈づくりのポイント

 論文を仕上げるときに一番苦労するのは,書き出しです。自分の主張したいことをより良く読み手に伝えるためには,何から書き始めたらいちばん効果的であるかを悩みます。特に,枚数やページ数が限られている場合は尚更です。どれだけ書いてもかまわないものであれば,何から書き出したとしてもいくらでも書くことができるので少し気が楽です。自分が最も主張したいところに効果的につなげていくための文脈づくりでもあると言えます。
 同じことは,相手に話をするときにも当てはまります。特に,依頼や相談をする際には工夫が必要です。いきなり要点だけを主張したとしたら,初めて聞く相手であればちんぷんかんぷんです。なぜそのような主張がなされるのかの背景が全く分からずに聞いているのですから,当然のことかもしれません。
 親しい相手である程度文脈が分かっている場合でも,どこから話し始めたら良いかは慎重に検討します。急がば回れと言われますが,あまり性急に話し出すと結局最初から話さなければならなくなってしまってかえって時間がかかることもしばしばです。文脈づくりに失敗して,もう一度別の文脈それも大きな文脈を作り直さなければならない例です。
 書き始めや語り始めをどうするかは文脈づくりのポイントであると言えます。