はじめて『学び合い』ライブ授業をしてから13年が経ちます。変わっていないことは,ライブ出前授業を見ていただくよりも,その前に実施する語りを見ていただきたいということです。
我々にとっては,ライブ出前授業の前の語りは当たり前のことなので,それがないとライブ出前授業が期待通りの結果をもたらさないと分かっているので,当然のごとく実施しますが,はじめての人や『学び合い』の考え方を知らない人にとってはどうしても本番のライブ出前授業を参観しようとします。それは至極当然のことですが,我々の認識との間にズレが生じてしまっています。知らないだけに仕方ないことであると思われます。
ですから,ことあるごとに語りを見てくださいと語っています。本番のライブ出前授業だけを参観されますと,授業中の手法,そうですテクニックとか指導技術とか指導方法とかに注目されますので,そこだけを取り入れようとされるのです。
授業中の手法を目的化しないようにしてほしい,これをご覧になっておられる皆さんには,くれぐれも授業中の,いわゆる「教えない」手法や「褒める」手法,可視化の手法等を取ることを目的化しないようにしてほしいということを強くお伝えしたいと思います。「子どもの有能性を信じる」ことを子どもたち(学習者)に十分伝えずに,授業中の手法を一生懸命行うことだけを心がけていると,その手法を行うことが目的となってしまいます。
そうなると,子どもたち(学習者)にとっては,先生が何のためにそのような手法を取るのか伝わりませんから,子どもたち(学習者)からは,「なんで先生は教えてくれないんだ」「手抜きだ」という声が聞こえて来かねません。
子どもたちに対しては,授業者として,「皆さんは学ぼうとする凄い力を持っているんだから,私は,納得するまで教えてもらい学ぼうとするその力を皆さんが発揮してくれることを信じているんだ,そのために全力で応援するんだ」という考え方を伝えていただければ幸いです。
それが『学び合い』の考え方です。