信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

相手の立場に立って

 相手の立場に立ってとか,相手の立場になって,とか相手に寄り添ってとか言います。我々もよく使います。しかし,それはそうした方が良いという考えであり様々な場面でそうしなければならないという判断が働くものだからです。

 しかし,具体的にどのような行動を取ったら良いか分かりますか?道徳の時間のような問答です。

 実は,それが『学び合い』の考え方です。

 『学び合い』の考え方は,いつもの教科の授業で明確に道徳の時間の授業をすることであるとイメージしていただければ,より一層理解してもらえるかも知れません。相手の立場に立つことはいったいどういう行動を取れば良いのかを,いつもの教科の授業で具体的に行動してみて実践するわけです。

 それが,『学び合い』の考え方です。

 ただし,いつもの教科の授業の時に,「さあ,今日の授業は自分以外のクラスメイトの立場に立って学びましょう」と言ったとしても,子どもたちにとっては具体的に何をしたら良いか分からないはずです。授業者でさえ,分かっていないかも知れません。具体的な場面で具体的にどうすることが,相手の立場に立って行動していることなのかを具体的に指導できなければ,分かっているとは言えないでしょう。

 たとえば,隣に割り算の計算ができなくて困っているクラスメイトがいると仮定した場合,具体的に相手の立場に立って行動することはどういうことなのかを分かりやすくそれも相手が納得するように説明できますか?自分の知っている計算の仕方を教えてあげることでしょうか?そのクラスメイトが何に困っているのかを聞くことでしょうか?なかなか難しいことです。

 『学び合い』の考え方では,みんなでみんなができるようになろうという語りによって,それを具体的に子どもたち自身に考えさせ判断させ,行動させてみます。その語りによって,それら一連の流れ(自分で考え判断し行動してみること)を促すわけです。もちろん,我々でさえトライ・アンド・エラーすることがあるのですから,子どもたちにとってはトライ・アンド・エラーの繰り返しかも知れません。

 しかし,それらはすべて我々の目の前で起きている事実なのですから,私だったらこのようにしてみるがどうだろうと教師が子どもたちに対して指導することが可能です。結果的に何がより良いことであるのかは,子どもたち対子どもたちの関係性の下で,折り合いを付けながら,子どもたち自身が自分たちのために自分たちの手で自分たちで見つけていくことになります。

 そのようにして,相手の立場に立つことがどのようなことなのかを子どもたち自身が自分で考え判断し行動を起こしトライアンドエラーしながら体得していくのです。時間はかかりますが,急がば回れではないですが,一番の近道です。

 20年後の彼らの幸せを保証することに直結します。

 それが『学び合い』の考え方です。