理科教育担当の私の講義では，受講生の皆様に模擬授業に取り組んでもらっています。その一環として，予備実験をして当日本番の時に会場で観察，実験をしてもらっています。そのための，観察，実験に必要な実験器具や教材を研究室から会場まで１台の台車に乗せて一人で運びます。この日は幸い晴れていましたが，雨や雪の日には少し困ってしまいます。雨の日は傘を２本差して，１本は実験器具と教材にかざして，１本は自分のために，使います。雪の日は雪道を台車を押しながら傘２本はつらい作業です。雪国ではない方には，このつらさは，到底，理解できないことでしょう。
今週の講義の帰り道，いつものように１台の台車に山ほど実験器具と教材を載せて運んでいる最中でした。一部の実験器具が台車から落ちて拾い上げているそのときです。
「持ちましょうか？」
と声をかけてくれる学生の方がいました。嬉しかったです。もちろん，御礼を申し上げて丁重にお断りしましたが，おそらく困っている感があちこちに発散されていたのでしょう，声をかけてくださったことがとても嬉しかったです。困っている子がいたら，決して見捨てない，そんな先生になってくれるのではないかと独りごちながら，うれしさをかみしめた一日でした。
