信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

教えていると思っていて実は教えてもらっている

 教えていると思っていると教えてもらっていることがあり,一方でその逆もまたあります。gatekeeperが入れ替わる現象はよく知られています。それも,成績の上位の者が一方的にgatekeeprになっているわけではなく,成績の下位の者がgatekeeperに知らず知らずのうちになっていることがあるから教えたり教えられたりする現象は不思議です。さらには,自分がgatekeeperだと思っているときはだいたいgatekeeperにはなっていなくて,自分はgatekeeperになっていると思っていないときにこそgatekeeperになっていることがあるからより一層不思議です。それだけ,教えたり教えられたりすることは現象論的に難しいということです。
 ずっと教えている立場に立っていると思っている人間が,いつの間にか教えてもらう立場になっていることがあります。その相手もずっと教えててもらっている立場であると認識していたでしょうが,いつの間にか自分が教えている立場に立っているとはっきりと認識するようになります。
 いつどこで教えてもらう立場になるかは誰にも分かりません。我々は文脈に依存して能力を発揮しますから,文脈が全く異なる状況であれば,尚更のこと教えてもらう立場になることは当然のこととも言えます。教えていると思っていても実は教えてもらっている文脈が生じます。教えてもらえる文脈が生まれることを有り難く思うところです。