信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

私たちの理解は文脈に依存している

 私たちの理解が文脈に依存していることはよく知られています。それは私たちの能力と深く関わります。特定の単語だけを取り上げて,それに触れたとしてもその単語だけから解釈することは難しいものです。一休さんのとんちには”はし”が登場します。”そば”という言葉も,それだけですと前後の文脈が分からないがために往々にして誤解を生みます。理科の場合ですと,仕事という言葉が代表的に示されます。
 理解を促す上では,いかにして文脈を創り上げていくのかが重要でかつ大切となってきます。文脈が変わると理解が及ばなくなることがたくさんあり,その一方で文脈を変えると理解が促されることもたくさんあります。ある一つの文脈の下だけで理解できないからと言って,即時的に評価を下さずに,文脈を変えてみる工夫を施す余裕が欲しいものです。
 その一方で,ある一つの文脈の下だけで理解できているからと言って,その理解が盤石であるかどうかは言い切れないのです。文脈を変えてみてそれでも理解できるようであれば,それは本当に理解できていると言っても過言ではないでしょう。ですから,理解できていると思っている子どもたちに対して,文脈を変えて問うてみてください。本当によく分かる,つまり納得するためにはその作業が必要です。
 一人の教師に40人の一人一人の子どもたちに対して,その工夫ができるでしょうか。それが,子どもたち自身で文脈をいろいろと変えてお互いに試してみることのできる授業につながります。