「この授業でいちばん大切なことは何ですか?」と聞かれることがあります。みなさんなら,何と答えるでしょうか?私なら,間違いなく,「全員が目標を達成することです」と答えます。おそらく,この授業でいちばん大切なことを聞きたい場合には,教材や指導法,指導内容を期待していることではないかと推測できます。何を教えたいのか,どのようにして教えたいのか,そのために工夫したり開発したりした教材を求めているのでしょう。
新しい学習指導要領が,小学校では本年度から中学校では来年度から全面実施となります。その学習指導要領では修得すべき資質・能力が大切にされますから,この授業で身に付けさせたい資質・能力が挙げられるかもしれません。
しかし,教えるべき内容や修得すべき資質・能力が大切にされたとしても,それらが一部の子どもたちにしか修得されなかったとしたら,大切さが薄らいでしまうように思うのは私だけでしょうか。大切であることには変わりありませんが,いちばんと言われたらやはりそれらを全員が享受できることであり,全員が教えるべき内容を理解すること,全員が修得すべき資質・能力を身に付けることです。
教える内容や修得すべき資質・能力が大切であったとしても,それが一部の子どもたちにしか理解されていない修得されていない状況であったとしたならば,いちばん大切だとは言えないものではないでしょうか。いちばん大切なことであるとしたら,全員に享受させたいと願うばかりです。