信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

育てたい資質・能力が育ったかどうかを議論するとき

 育てたい資質・能力が育ったかどうかを議論するときに,誰か一人の子どもが一歩譲って何人かの子どもたちが育っていれば良いのか,それとも集団内の全員が一人残らず一人も見捨てられることなく育っていれば良いのか,は大きな違いです。
 どうも研究会というのは,前者に傾注しているかのように見受けられる節があり,残念です。誤解を恐れず言わせてもらえれば,少なくとも私がこれまでの人生の中で参加してきた研究会というのはそればかりです。後者にこだわっているのが『学び合い』の考え方です。日本の学校教育の中で,『学び合い』の考え方で研究会を催した学校は一握りしかいませんから,先のことは間違いないことでしょう。
 研究会を終えて報告書をまとめる際にも,40人いる集団の中で,誰か一人だけでも授業者の期待する資質・能力が育っていると万人が解釈できる記述なり発話なりをしている子どもたちを探し出して,成果として記述します。才能教育の視点もありますから,それはそれで意義あることですが,冷静になって考えてみればその他の39人はどうなったの?と尋ねてみたくなります。
 研究会といえども,授業者が育てたい資質・能力が身についた一人の子どもに注目して指導力の成果を鼓舞するよりも,育てたい資質・能力が全員に身につくような授業実践を大切にしなければなりません。あなたが,資質・能力が育たなかった子どもたちの一人であったならば,どう思いますか?