信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

帰納法と演繹法

 帰納法演繹法という思考法はよく知られています。結論の求め方は異なりますが、さまざまな場面で役に立つ方法です。私が解説するよりも、Webで検索すればより良く調べることができるはずです。帰納法は「複数の物事や事象の共通点を抽出して結論を得る」、演繹法は「複数の物事や事象を関連付けて結論を得る」という特徴があります。
 帰納的な指導法と演繹的な指導法として、学校教育の場においても活用されます。ただ、小学校の場合、各教科等において用いられる手法は帰納的な指導法だけです。演繹的な指導法が用いられることはありません。それだけに、先日、小学校で『学び合い』ライブ出前授業を演繹的な指導法で実践させていただいたところ、現職の先生方はきょとんとされるわけです。ご経験がないだけに。中学校も同じです。
 大学の学部生のみなさんに対して、指導法の講義で演繹的な指導法を使って学習指導案を書きましょうと勧めて展開すると、学生のみなさんは戸惑います。小中高大学において、演繹的な指導を受けた経験がないからです。あったしても、少人数ですし1~2回ほどの極めて少ない経験でしかないからです。
 小学校や中学校の現職の先生方にしてみると、演繹的な指導法のご経験がないだけに、『学び合い』の考え方を使った授業のようにいわゆる答えを最初から提示する授業に対しては、抵抗が強いです。演繹的な指導法は、先生方にしてみれば、答えを最初から出す指導法のように思われますから。
 しかしながら、その単位時間で子どもたちに身につけさせたい資質・能力をしっかり身につけさせるために、帰納的な指導法であったとしても演繹的な指導法であったとしても同じ効果を生むことになります。帰納的な指導によってより良く資質・能力を効率的に育む子どもたちもいれば、演繹的な指導によってより良く資質・能力を効率的に育む子どもたちもいます。子どもたちが自分で洗濯できる環境を構成することが重要でありかつ大切です。
 この帰納法演繹法は、『学び合い』の考え方に依存せずに言えることです。