「時間を取るので少し考えてみてください」と言われることがあります。考えてみてくださいと言われても，考えるに値するだけの知識や経験がなかったりたとえ過去にあったとしても問われたその時点でそれらを想起できなかったりした場合には，何を考えたら良いか分からなくなります。考えてみてくださいと言われるので，自分の文脈で得られた知識と経験（それは，問うた側の文脈で得られた知識や経験とは異なるのが通例です）で考え答えると，そうではないと言われたら，どう思いますか？次は頑張ろうと思うでしょうか，それとももう二度と考えたくないなあと思うでしょうか。
少し考えてみてくださいと言われたそのときに，自分の文脈で考え及ばなかった場合でも近くにいる同僚の文脈を共有すれば考えることができるかもしれません。あるいは，自分の文脈と同僚の文脈を合わせて考えることもできるでしょう。せめて，自分で考えてみてくださいではなくて，誰とでもいいので分からなかったら一緒に考えてみてくださいくらいは言ってほしいものです。問う側の人の文脈と問われる側の人の文脈は異なるのですから。自由に，誰とでも，何度でも，どんなことでも，考えていいんだよ，と言ってあげたいものです。
