信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

文化がぶつかるときに現れる2つのタイプ

 昨日,文化と文化がぶつかるときのことを話題にしました。自分の持っている文化と異なる文化に出会ったときに,根拠もなく相手の文化に安易にすり寄っていくことがあります。一方で,自分の持っている文化を強引に押しつけたり相手の文化を排除したりすることもあります。文化というと何か大げさなことであるかのように思われがちですが,日常生活の中で自分の持っている考えや判断と異なる考えや判断に接することは数多くあります。そのときのことを想定して考えてもらえればお分かりいただけるのではないかと思います。
 いずれのタイプもよくあることですが,それは一朝一夕にそのようなタイプが現れるわけではありません。それこそ,そのような行動を起こしてしまうのはそのときの社会的な文脈にも依りますが,それまでにその人が慣れ親しんで習慣化されて当たり前のようにとっている普段のことがそのまま現れてきている可能性がとても大きいと考えられます。その意味では,普段から自らの行動についてリフレクションをしてみることも貴重なことかもしれません。
 実は,学校教育の教科の授業において,子どもたちの会話を分析してみると,先の紹介した2つのタイプが現れます。それも『学び合い』の考え方ではない授業の場合に多く現れます。特に,後者のようなタイプの会話は小学校第3学年の子どもたちに多く見られ,前者のようなタイプの会話は小学校第5学年の子どもたちの間に多く見られます。小学校低学年の子どもたちの場合には,お互いに関心を持たずに自分のことだけ話しているような会話が多く現れてきます。
 どのように折り合いをつけたらよいのかは,このように小学校のころから少しずつ教科の授業で体得していくことが大切であると我々は考えています。そうしないと,何度も話題にしていますが,年齢とともに分別が付いて発達段階に応じて対応できるようになるなどということはなく,我々はそのときの文脈に応じて対応が別れてしまうことがよく知られているので,20年経ってもできないことはできないままになってしまいます。

 教科の授業でやらなければならないのは,毎日の学校教育において教科の授業がいちばん多く実践されているからです。相手に根拠なくすり寄っていったり相手に自分のもっている考えや判断を一方的に押しつけたりしないために,相手を排除してしまわないために。