信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

文化と文化がぶつかるとき

 文化と文化がぶつかるとどうなるでしょうか。自分の持っている文化が自分の持っている文化と異なる文化と遭遇したときには,みなさんならどのような対応が望ましいと考えますか?そして,どのような対応がベストであると判断しますか?ないしはベストな対応としてどのような対応をすべきですか?その上で,具体的にどのように対応する行動を起こしますか?考えと判断と行動が難しいところです。考え・判断と行動がズレることも一般的には十分にあり得ます。
 自分の持っている,自分を育ててくれた,自分の慣れ親しんでいる,自分にとってはそれが当たり前の文化の中に,それとは異なる文化がぶつかってきたとき,入ってきたとき,近づいてきたとき,みなさんならどうしますか?どうしますかですからどのような行動を取りますか?ということです。
 その逆の場合もあります。自分の文化が,自分と全く異なる文化の中に入っていく,近づいていく,ぶつかっていくときにはどうしたら良いでしょうか。
 前者の場合は,入ってくる向かってくる近づいてくる相手の文化がいわゆるマイノリティです。後者の場合は,こちらがマイノリティです。相手がマイノリティのときと自分がマイノリティのときにいったい自分はどのような行動を取るでしょうか。取れるのでしょうか。そこでは,否が応でもコンフリクトを和らげる手立てを早急に考え判断し行動をおこなさなければなりません。特に,後者の場合は一刻を争うかもしれないからです。我々の言う,折り合いをつけることが大切だと考えますし,折り合いを付けることが必要だと判断しますが,いざ行動を起こそうとなるといったいどう動いたら良いのか頭の中が真っ白になって慌てます。
 ときどき外国の方に会う機会がありますが,外国の方がマイノリティですからどきどきしながら,なんとかこちらから折り合いを付けようと努力することができます。しかし,本学部附属長野中学校の英語の授業はオール・イングリッシュなので,教室空間に入った途端にこちらがマイノリティ気分になってしまいます。さて,どうやって折り合いを付けようか冷や汗がにじんでしまいかねません。恥ずかしながらそこには,だれか折り合いをつけてくれないかなあと思う自分がいます。
 いずれの場合でも,自分の中にコンフリクトが生じますから,それをいかにして効率的に和らげるようにする手立てを講じながら折り合いをつけたらよいのかを具体的な行動として学ぶことができるのが,『学び合い』の考え方です。
 『学び合い』の考え方とは言っても,1回で完璧に身に付くわけなどありません。トライ・アンド・エラーを何回も起こします。何回もトライ・アンド・エラーを起こしながら,折り合いの付け方を知らず知らずのうちに体得していくのです。トライ・アンド・エラーを何回も起こすことができる機会があって,それを繰り返しながら最善の折り合いの付け方を模索することができる体験は貴重で,20年後の自分にとって嬉しいことです。