信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

授業は楽しいですか?

 先日の教職大学院のチーム演習で,子どもたちが授業を楽しいと感じれくれるような授業をしたいという話題になりました。そこで,考えます。楽しいとは,いったい誰にとっての楽しさなのでしょうか。楽しいの定義もなかなか難しく,人によって異なるので揺らぎますが,Weblio辞書に依れば,「心が明るく満ち足りる様子」とあります。楽しいとはgoo国語辞典に依れば,「満ち足りていて、愉快な気持ちである。」とあります。ここでは,一般的な楽しさとして語らせてもらいます。
 一般の公立中学校の第1学年の57名の生徒のみなさんに協力してもらって,アンケートを取った結果があります。未発表の最新のデータです。処理の細かな方法は省略しますが,理科の勉強は楽しいと回答してくれた生徒のみなさんが40名,そうでない,つまり理科の勉強はどちらとも言えないか楽しいとは思わないと回答してくれたみなさんが17名でした。統計処理すれば,有意差が認められますので理科の勉強は楽しいという結論を導き出すことができる結果です。特に何も特別な手立てを講じていないときの日常の教科としての理科の授業を受けているみなさんですから,素の状態です。ですから,一般化して考えても差し支えないものと判断します。
 結論として,中学校第1学年のみなさんは,理科の勉強を楽しいと感じていると言うことのできるデータです。しかし,です。だからといって,全員が理科の勉強は楽しいと感じているという結論には成りませんし,当然のことながら,一般化するとは言っても,この結論が中学校第1学年のみなさんはすべて理科の勉強を楽しいと言っていると言えるものではありません。
 話を戻します。楽しい授業をしたいと考えた場合に,いったい誰にとっての楽しい授業なのかということです。誰にとっての楽しい授業にしたいのでしょうか。先に紹介しましたとおり,生徒の皆さんが理科の授業を楽しいと判断しているのは70.2%のみなさんです。そのおよそ70%の生徒の皆さんが楽しいと感じてくれるような理科の授業をしたいのでしょうか。そう考えると,残りのおよそ30%の生徒の皆さんは楽しいと感じていないのですがそのみなさんのことはどうしたらよいでしょうか。それも,良くお分かりのことと思いますが,楽しさは一人一人違いますので,考え判断は異なります。揺らぎが生じてくるのは避けられません。およそ70%の生徒の皆さんが楽しいと感じてくれるような授業を目指すのであれば,現状で十分であるとも言えるわけです。楽しい授業を目指すとしたらそれ以上,つまり80%とか90%の生徒の皆さんが楽しいと感じてくれるような授業を目指したら良いのでしょうか。それでも,楽しいと感じていない生徒の皆さんはいます。100%の生徒の皆さんが楽しいと感じてくれる授業を目指したい物ですが,なかなか難しいです。