信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

時間を延長しない

 子どもたちの活動時間を○時○分までと決めたら,決して延ばさないことです。たとえ,子どもたちが活動を終了していなくても,子どもたちから「時間が足りないから,もっとください。」と懇願されても,そこはグッとこらえて絶対に時間を延長しないのがテクニックです。

 授業時間は無限にあるわけではありません。限られた活動時間の中で,どのようにしたら一人も見捨てられずにみんなが目標を達成できるのかを考え,判断し,行動することを求めることが重要です。子どもたちは,30分の活動時間の中で,どのくらいの時間を自分で考える時間に使ったら良いのかを考えながら目標の達成に向かうことができるようになります。また,分からなそうにしている子のところにどのくらい経ったら行けば良いのかを考えて,いつ行動を起こしたら良いかを判断して行動を起こすことができるようになる子どもたちが現れます。さらに,分からなそうにしている子が分かるようになるにはどのくらいの時間が必要なのかを考えながら行動を起こすことができるようにもなります。

 さらに,一度延ばしてしまうと「なあんだ,先生は頼めば延長してくれるんだ。それなら,まじめにやらなくてもなんとかなるか。」という言外のメッセージを子どもたちが受け取ってしまうことになります。「あのとき,いいって言ったのに,なぜ今回はダメなの?」と詰め寄られかない事態も招きます。延長すれば,クラスの中の子どもたちすべてが目標を達成するのでしょうか?どれだけ延長しても,分からない子にとっては分からないものです。分からない子にとっては時間が分からなさを解決してくれるというものではありません。

 延長したいという子どもたちの要求をどうしようかと考えるよりも,限られた時間をどうやったら有効に使うことができるのかを,子どもたちに考えさせることの方が有益です。分かる時というのは,何かきっかけがあるのです。『学び合い』授業では,そのきっかけをごちゃごちゃの中でのより多くの友だちとの情報交換が有用的に与えてくれます。○時○分までと決めたら,途中で変更せず,時間内にみんなができるよう工夫させることが重要なテクニックです。