信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

選ぶのは子どもたち

 教師という職業柄,こうでなければならないと思うことは多々あります。

 授業にもそれは現れます。授業に臨むまでにどれだけ教材研究をしてきたことかは自分がよく分かっています。授業に臨むまでにどれだけ指導案を書き直してきたかは自分がよく分かっています。授業に臨むまでにどれだけフラッシュ・カードや学習プリント,ワークシートを作り直してきたかは自分がよく分かっています。それらを使いたい気持ちは良く分かります。苦労してきた時間に比例するのかもしれませんが,苦労すればするほど使いたいですし,その指導案に沿って授業をしたい気持ちが高まります。自分にも何度も経験があるだけにその気持ちは痛いほどよく分かります。

 しかし,それらが子どもたちにとって最善の方法なのか,を問い直してみることはできないものかと思います。苦労すればするほど,できないのでしょう。

 一度その箍を脱ぎ捨てて,それは自分だけが思っているだけであって子どもたちにとってはどうなのかと考え及べば,子どもたちに選択を委ねることができます。たしかに当該教科に関する知識や経験は教師の方が豊富であることは疑いのないことでしょうし,それを否定するものではありません。

 しかし,思考回路は同じではありません。いや,違っていて当たり前であると言えます。教師にとっては,苦労して創り上げた教材,指導案,フラッシュカードを使うと思考回路が働いて分かりやすいのですが,それは教師の,そうあなたの思考回路であって,子どもたちの思考回路ではないのです。子どもたちの思考回路は,教師の準備したもろもろのものでは働かないのかもしれません。

 そう考えると,子どもたちに任せてみるのも一つの手かもしれないと思います。『学び合い』の考え方では,ゴールは具体的なものとして示しますが,そのゴールに向かってどのようにして進むのかは選択肢としていろいろと準備はしますが,選ぶのは子どもたちです。

 それが,『学び合い』の考え方です。