信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

いろいろな姿を見せる雪

 昨日の午後,目の前で雪が降っていました.それも強い横風に乗って真横に降っている,降っていると言うよりも舞っている,それよりも吹雪いているというよりも横っ飛びしているという表現の方がぴったりのような横殴りの雪っ飛び現象でした.それだけ,雪質が軽く,風が強かったからなのでしょう.こんな雪は生まれて初めて見ました.どんなに風が強くても雪は斜めに降ってくるくらいしかみたことがないので真横に横っ飛びする雪っ飛び現象は初めてです.なかなか目にすることのない風景でした.一口に雪が降るとは言っても,いろいろな機会を通じてさまざまな姿を私たちに見せてくれています.これも,雪が降らない地域のみなさまにはなかなか分かってもらえないような雪国ならではの話題の一つです.

 

ひらめきを得るとき

 教育研究に携わっていると,自分の専門とは異なる分野の情報を得るようにした方が良いとよく言われます。自分の専門分野だけではなく幅広くネットワークを張って情報の収集を心がけることによって,ひらめきが突然やってくる可能性が増すことに依るものではないかと独りごちています。自分の専門分野でのアプローチの方法はそれまでの先人によって確立されていて,それらの手法による万人の理解の促進が一般的になっているからです。何か新しいものを求めているときやオリジナルな教育研究のきっかけをつかもうとしているときなどは,自分の専門ではない分野や領域の教育研究やトピックに触れてみることも有意義です。
 授業でも,マンツーマンで教えてもらっているときも問題解決に至る有効な手法の一つであることには間違いありませんが,その組み合わせが分からない子にとってのゲートキーパーとして位置付くものであるならばという条件付きではありますが,そうではなく,周りから聞こえる一見雑多のように見えたり聞こえたりする様々な多様な情報の中に自分へのひらめきをもたらしてくれる貴重な情報の一つが含まれている可能性は十分にあるはずです。シーンとしていたら,そのようなひらめきには巡り会うことは不可能です。わいわいがやがやの多様な情報が飛び交う文脈の下での学びが活性化への近道である所以です。
 ひらめきは多様な情報網の中にあるやに思われて仕方がありません。

 

デンマーク視察

 先月,デンマークの小中学校にSTEAM教育の授業実践の視察に行ってきました。デンマークは,小学校と中学校が1つの校地内に併設されていることが多く,日本で言うとところの小学校第1学年から中学校第3学年まで同じ校地内で学びます。視察した小中学校はゼロ学年から9学年まで10学年の子どもたちが学んでいました。とても自由な雰囲気で,素晴らしい授業が実践されていたことに驚きます。先生方も子どもたちの好奇心を大切にして,それを伸ばすべく最善を尽くしておられて参考になります。0学年からSTEAM教育の実践が行われていますので,卒業するころには創造性豊かな人材として成長しているのだなあと感心したところです。国を挙げてSTEAM教育の推進に旗を振っていますから,先生方の取組も我が国の参考になるところが数多くありました。魅力的な国の一つです。

 

折り合いを付けることは難しい

 折り合いをつけることは難しいことです。それはいつでも感じることです。どうしても,自分の考えにはこだわりがあって,そのこだわりはこだわりを持つに至る背景があるだけに,こだわり続けたくて,その考えを改めることはなかなかやっかいなことだなあといつも思ってしまいます。これまでの短いながらも,少しだけの経験があるがために,その経験に裏付けられている思い込みもそれを後押ししています。
 相手の考えに単純に従おうとすれば,それは安易合意ケースと呼ばれる会話に陥ってしまいます。自分が納得することなく,自分のこだわりを捨ててまでも,相手の考えに委ねてしまうことです。自分が納得できるだけの根拠となる考えが相手にあるのであれば,それを十分に吟味した上で,自分のこだわりとの折り合いをどこかでつけようと努力できるでしょう。ですから,相手の考えをよく聞いて,どの部分に納得できるのか納得できる根拠があるんかその根拠は確かなものなのかを検討する必要があります。
 折り合いを付ける道筋には,自分も考えを修正する,相手にも考えを修正してもらう,そのやっかいな作業が待っています。言うは易く行うは難し,です。

 

3月はまとめのとき

 我々大学人にとってみると,この2月から3月にかけてはそれまでの教育研究をまとめる時期として位置付いています。まとめた内容は学会に発表したり論文として投稿したりします。この3月も例に漏れず,これまで取り組んできた教育研究を発表すべくまとめています。その数,5報となります。そのうち,2報はすでに発表申込を終え,1報はいつでも発表申込をすることができる状況になっています。我が国は4月から年度が変わる関係で,3月は1年間の集大成とも言えます。令和5年度をまとめ,新たな令和6年度を迎えます。

 

日本人学校での『学び合い』

 私はかつて,海外の日本人学校から要請があって『学び合い』ライブ出前授業をするために渡航した経験があります。そのときは現地の日本人学校で『学び合い』ライブ出前授業はしましたが,なかなか難しかった記憶が残っています。それだけに,日本の子どもたちを対象にしているとは言え,その国の文化の中で生活しているだけに,海外でのその地での『学び合い』実践は,考え方を伝えることに困難を伴うことを痛感しています。余程の本気がなければ,継続することは至難の業と言っても過言ではありません。
 このたび,日本一の『学び合い』学校を創り上げた学校で校長を定年退職され,再雇用の学校を日本一の『学び合い』学校にされて再度定年退職されたのち,今度は海外に活動の場を移されて,海を渡って教鞭を執るという新たな試みに挑戦されている方からメールが届きました。この方の敬服するところは,退職後に海外に活動の場を移されて教鞭を執って『学び合い』をするという新たな挑戦をされること自体誰にもまねできることではないほど身震いするほどの凄さなのですが,それに留まらず,きっちり成果を出しておられることです。志の高さとチェレンジ精神と実行力に感涙し,敬意を表しています。日本で勤めておられた学校近隣の学校におじゃますると,今でも必ず,この方の話題になるほど,その地域ではこの方のご尽力によって『学び合い』の考え方が共有されています。貢献度の高さが思い知らされます。
 現地から届いたメールの内容を拝読すると,この1年間,日々,『学び合い』の考え方で取り組んできたとのことです。全く勝手の違う海外の学校ですから心折れることもあったと勝手に推測するのですけれども,そのような中でも継続されてこられて,この3学期には子どもたちと一人も見捨てない理念を共有できたという見事な成果を上げられたそうです。子どもたちと考え方を共有でき,保護者のみなさまにも理解してもらえたとのことです。もう思わず感涙しました。素晴らしい実績を上げられたなあと感服しています。
 この方の高い志,チャレンジ精神と不断の実行力は我々の手本になっています。お力添えをいただきながら,世界の子どもたちが一人でも多く幸せになってほしいなあと願ってやみません。

 

今日の目的は何?

 日々の生活に追われていると,どうしても目的を忘れることがあります。忘れると言うよりも後まわしにしてしまうと言った方が良いのかもしれません。その場のそのときの目の前のことをなんとかしなければならなくなってしまうことによって,そもそもそのときに何を目的として行動を起こし始めたのかが頭の中から消え去ってしまうからです。目の前の問題の解決の重要で大切ですが,自ら行動を起こした目的を後まわしにすることのないように,目の前のことがなんとかなりそうになったら目的は何だったっけと思い出すようにした方が良いように思います。
 授業も同じことが言えそうです。今は何をするときなの?と子どもたちに聞いてあげたいものです。