信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

委嘱状が届きました

 所属している学会から委嘱状が届きました。初めてのことで,有り難く受け取りました。丁寧に送ってくださり,手続きを進めてくださった事務局のみなさまのご尽力に心から感謝しています。本学での兼業の手続きも円滑にできそうです。入会33年目になる学会なので,本当にお世話になっています。当該学会のますますの充実,発展に力を尽くしたいと意を新たにしています。

 

秋への季節の変わり目

 ここ数日の涼しさで,一気呵成に秋の虫の鳴き声が多くなりました。退勤時には大合唱です。秋への季節の変わり目です。小学校第4学年の理科では気温の条件を抽出して,季節ごとの動植物を学びますが,気温の変化とともに植物も動物も姿を変えていくことを実感します。
 昨日,理科の教育の特集を話題にしましたが,今月号の理科の教育の表紙を飾っているのはショウリョウバッタです。バッタ目バッタ科の,昆虫です。河原や公園など,開けた環境に多く生息しているバッタで,飛ぶときにチキチキを音を立てるので,その居場所がすぐに分かってしまいます。

 私も小学生だったころから馴染みのバッタで,バッタと言えば,このショウリョウバッタを思い浮かべるほどです。体中が黄緑色で,一般的な葉の色と同化していて保護色となっているので,飛ばなければなかなか見つけることができないです。すらりとしていて眼が細長く,触角も長くて,個性的な顔立ちです。彼らが活躍する季節がやって来ました。

 

理科の教育の今月の特集

 日本理科教育学会編集の月刊誌理科の教育の今月号の特集は,自然災害に理科教育は何ができるのか,です。自然災害に向けた理科教育の可能性,自然災害から考える理科教育に望むこと,自然災害から身を守りその対応に生かす理科教育の実践,という3部構成になっています。 
 一言で自然災害と言いますが,北は雪害があり南は台風災害があります。最近は,帯状降雨が話題になっています。日本は地震の国でもあります。理科教育にはどのような貢献ができるのか,考えていかなければなりません。

 

授業最後のリフレクションの良さ

 『学び合い』の考え方では,授業の最後にリフレクションが欠かせません。リフレクションで,その授業の自分を振り返ります。
 その授業で活動した自分の感覚は時間とともに忘れ去られてしまいます。感覚だけでなく,自分の取った行動の意義も,自ら価値づけないことにはあっという間に忘却の彼方に去って行きます。そこで,活動の直後,授業の最後にリフレクションをすることによって,自分の発見した感覚を実感的に捉え,確かにメタ認知していくことになるのです。良かったなあと思うことや驚いたこと,発見したことなどインスピレーションとしての感覚を自分の肯定的な情動を語ったり文字に残したりあるいは意識の土俵に上げたり記述したりするような情動的振り返りを授業の最後に実践することによって,学習者自身に自分の学びやそのプロセスをメタ認知させる機会を保証することが,学びを深めるためにも必要なのです。
 学習者全員に対して,深い学びを保証するためには,自己の学びのプロセスを意味づけたり価値づけたり,さらに学びたいことを語ったり記述したりすることが必要なのです。その意味においても,授業最後のリフレクションはとても重要で,かつ大切です。

 

集団を指導する良さ

 私たちが考え判断したことを行動に移すことはなかなか難しいことが知られています。たとえそれがとても素晴らしいあるいは貴重な考えや判断であったとしても,具体的に行動として具現化することができるかどうかは難しいところです。それは実行力として評価されることです。
 一方で,そのなかなか難しい行動が,社会的な文脈の下で,実現されることが多いこともよく知られています。個人の考え判断によって行動が起きることはもちろんですが,それだけではなく,個人的な理由よりも社会的な理由が行動を起こすきっかけをもたらす何よりの証拠です。より多くの人の行動を促す上で,集団を指導する重要かつ大切な理由です。
 『学び合い』の考え方はそれを実現させます。

 

教室では自分でつかまないといけない

 先日,高校野球で優勝した学校の監督,元プロ野球選手であるとのことですが,が語っていた話が印象的です。「グラウンドでは,監督に聞こうとするのではなくて,自分で感覚をつかまないといけない。学びはどこにあるか。本人自身の中に問題があって答えがある」。一部を切り取っているだけかもしれないことを予めお断りしておかなければなりません。
 これはまさに,授業でも言えます。”教室では,先生に聞こうとするのではなくて,自分で感覚をつかまないといけない。学びはどこにあるか。本人自身の中に問題があって答えがある。”
 監督の指導の下で優勝した選手のみなさんの「自身が学び,考えて実践する」姿勢は,私たちにも元気をもたらしてくれます。児童生徒のみなさん自身が学び,考えて実践する授業が,令和の時代の新たな授業の形の一つと,間違いなく言えるでしょう。

 

水の運搬の不思議

 水は体積や質量の比較対象にするときに基本としやすい物質です。1立方センチメートルあたり1gです。2Lのペットボトルであれば,2kgの重さになります。それを4~5本も両手に抱えて校舎の5階まで階段で上っていくと疲れます。5本となれば10kgにもなりますから,相当な体力を使います。地球の重力に逆らって,上に運ぶというのは大変な作業なのです。
 校舎の窓からは,校舎の屋上よりも高い樹木が数多く見えます。ご存じの通り,それらの樹木は根から水を吸い上げて,すみずみの葉に運びます。葉のすみずみまでも運ばれます。地球の重力に逆らって,です。生命体である限り,水がなければ生命の維持は困難ですから,常に,地球の重力に逆らって高いところまで水を運んでいるはずです。大木であればなおさらのこと,その作業は大変なはずです。
 いったい,どうやって運ぶのでしょうか?蒸散と毛管現象によるものであることは学びますが,それにしても不思議です。山頂に生息している樹木は,水の確保をどうやっているのか不思議に思えてきます。毎日何気なく目にしている身近なものであったとしても,考えれば考えるほど,自然の営みには畏敬の念を抱きます。