信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

口癖

 先日,私の講義を受けている受講生のみなさまから,また先生の素晴らしいが始まった,というニュアンスの発言をもらうことがありました。彼らにとっては,どうも私の口癖のように思われているのかもしれません。自分ではあまり意識はしていないのですが,彼らの様子を見ていると,自分で考えて判断したことを実際にやってみている様子が随所に伝わってくるので,ついつい素晴らしいなあと思うその感情を素直に言ってしまうようです。喉元でぐっと飲み込むことのできない悪癖のようです。
 大学という所は,もっと高い次元の成果を要求し,批判的に評価して,もっと高みを目指すことができるように指導していくことが必要な高等教育の場であることは確かです。しかし,そこに至る過程において,一つ一つの行動がその基となる考え,判断に基づいていることであり,そこには葛藤の末に下した決断が必ず存在し,トライ・アンド・エラーの繰り返しであることは間違いないのです。結果だけを評価することよりも,そこに至る過程における彼ら自身の様々な葛藤をもたらす考えや判断を表出させながら,それらの一つ一つを評価してあげることが重要でかつ大切であると考えます。
 そこには,たとえエラーを起こしたとしても,そのエラーを起こすまでの過程で却下されたであろう考えや判断もあるわけで,それらが総合的に加味されて最終的に現れた行動を我々が評価しているのですから,その過程がたとえ今受講している科目には反映されなかったとしても,このあとの数々の生きる場面で必ずや有効に機能していくことは間違いないのですから,それを評価してあげたいと願うばかりです。
 彼らの日々一つ一つの考え判断とその結果としての行動は,素晴らしいの一言に尽きます。