信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

本日の学びは何か

 『学び合い』の考え方は,課題がポイントと言われます。あれもこれもとたくさんの願いを込めてしますとみんながみんなでゴールに辿り着くことはなかなか難しくなります。その単位時間において,何が本質的な学びなのかをよく考えて焦点を絞ることをお勧めします。学びに余計なものなどありませんが,単位時間は,単位時間というだけに時間が限られていますから,その中で全員がゴールに辿り着くことはとても難しいことです。教師にとって要求することが当たり前であったとしても,それは学ぶ側の子どもたちにとっては要求されたことをすべて満たすことは当たり前ではないのです。特に,その単位時間に初めて臨むのでさえ難しいことばかりであるというのに,苦手な子どもたちにとっては,至難の業です。
 単位時間の中には,本質的な学びとともにそれに付随する学びがあります。それらが一体化となって混在しているので,一見するとどれが本質的な学びなのかは見分けが付きにくくなっています。教師用指導書を見ても,初めての方の初見では判断が難しいところです。そうなると,単位時間の授業づくりとしようとすると,本質的な学びとそれに付随する学びの区別が付きにくいので,双方を盛り込んだ「本質的な学び+それに付随する学び」を組み込んで指導の企画を立てることになるのです。あれもこれもそれもと盛りだくさんの目標,ねらい,課題ができあがります。
 本質的な学びか,それに付随する学びか,は素人には見分けることは難しい問題です。『学び合い』の考え方は,子どもたちに委ねるのだから誰にでもできるでしょうと言われることがありますが,この本質的な学びを見分けて抽出し子どもたちに対して,「今日の(本質的な)学びは◎◎だよ」と言えるプロでないと単位時間の授業は任せられません。『学び合い』の考え方の本質は,この学校教育の教科等の単位時間の本質的な学びを見抜くことです。教師が教えたいことを教えるものではありません。教師のやりたいことをやるものでもありません。それだけに,『学び合い』の考え方の力量が問われます。
 その単位時間の本質的な学び,つまり限られた時間の中で子どもたちに要求する学びは何かを見抜くのが,教育のプロの仕事です。だれにでもできる業務ではありません。