昨日に続いて,分かった子と分からない子に関する話題です。分かった子が分からない子から教えてもらうのが『学び合い』の考え方のコツです。通常,分からない子が分かった子から教えてもらうことだけが想定されるでしょうが,実は教育の場においてはそればかりではありません。
分かった子が分からない子から教えてもらうこともあります。実は,それが分かった子にとっても分かり直しに直結する学力向上の秘訣なのですが,今の日本の学校教育においては見過ごされがちです。分かった子が分からない子に対して,「教えて」などということは滅多にないことでしょうが,至る所でその会話が出てくればしめたものです。
分からない子の分からないところやつまずきやすいところが見つかることによって,その分からないところの本質を見つめ直すことも可能ですし,つまずきやすいところでの自らのチェック機能の発動にも役に立ちます。それは分からない子から教えてもらう以外にはない良薬とも言えます。
『学び合い』の考え方は,
分からない子が分かった子に「ここ分からないからどうやるのか,教えて」
分かった子が分からない子に「どこから分からないのか,教えて」
と声かけ合っています。
『学び合い』の考え方ではない授業では,分からない子が分かった子から教えてもらう場面しか現れないでしょうが,あるいは教師はそれしか要求しないでしょうが,『学び合い』の考え方では分からない子が分かった子から教えてもらう場面と分かった子が分からない子から教えてもらう場面の両方が現れますし,教師も両方を求めます。それが『学び合い』と学び合いの大きな違いです。