もう随分と前の話になりますが,一般の方々を対象にして『学び合い』ライブ出前授業をしたときのことです。自分が分かっていないのに,つまり目標を達成していないのに,あちこちで「分かった!」「なるほど,そうだったのか!」と可視化されるとつまり聞こえない人たちが誰もいない状況で自分の学習状況を全員に知らされると,少し焦ったりいらっときたりするという学び手の方々の語りを聞いたことがあります。
もし自分が同じ立場になっていたとしたら,やはり同じ気持ちになると思います。実際に,ゼミの時にゼミ生と一緒にゼミ生のやった『学び合い』模擬授業を受けたときなど,周りのゼミ生が「分かった!」「ああそうか!」などと可視化していくと焦ってしまって帰って後ろ向きの姿勢になってしまったほどですから,自分が分からないのに周りが分かっていくと取り残された気持ちになってやるせなさが増していきます。モチベーションも一気呵成に低下します。
そんなときには,やはり,あの魔法の言葉「一緒にやろう」が必要です。あの言葉をかけてくれたら,全然違った文脈が展開して行くであろうと考えられます。あの魔法の言葉を,お互いに掛け合えるような文化を創り上げたいものです。