信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

何か手伝うことはありませんか?

 近くの学校現場に臨床経験科目の一連の取組の一環として,臨床経験を積みに行った本学の学生の方が,その学校現場で担当の方に「何か手伝うことはありませんか?」と尋ねていたという実態報告がありました。そのフレーズと行動に感銘を受けたところです。経験があるみなさまはよくおわかりでしょうが,このフレーズはなかなか出てくるものではありません。まして,それを積極的に使いこなしながら臨床経験を積もうと心がけていることもそうそうにできることではありません。学校現場で実例を多く見てきた経験から言わせてもらえれば,通常,黙ってみていて指示待ちです。ないしは,苦労されている様子が伝わってきたときに初めて手伝いするくらいです。
 学校現場でその方が困っているかどうか,どれだけ困っているのか,何に対して困っているのか,を判断することはとても難しいことです。その方が,しゃべってくれれば分かりますが,何もしゃべらずに黙々と行動を続けているようであれば,まして困り度は何も伝わってきません。長く一緒に仕事をしているのであるならば,いわゆる空気を読むこともできるでしょうが,1回や2回参加した程度であるならば,なおさらのこと全く分かりません。分かろうと心がけても難しいことです。学校現場の文脈が理解できていない状況なのですから。
 相手が困っているかどうかは,自分には分からないのですから,素直に何か困っていることはありませんか?もし困っていることがあるのであるならば自分にできることはありませんか?と聞いてみることが肝要です。それができるかどうかはあなた次第です。しかしながら,できなかったとしてもできるようになろうと挑戦することはできるでしょうから,挑戦してみてはいかがでしょうか?そうすると不思議なことに,自分自身の相手との折り合いの付け方の処方箋が更新されます。自戒を込めて。