信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

困り感をどうやって見極めるのか

 はじめて一緒に仕事をするとき,それもその仕事が自分にとってはじめての経験となる場合,特にこれまでの自らの履歴の中で経験したことを汎用的に活用しようがないような協働作業の場合には,自分から進んでいろいろな仕事を進めていくことは難しいことです。

 次に何をしたら良いのかを,過去の経験から汎用的に見出して先を見ながらてきぱきと仕事をしていくことができれば良いのですが,なかなかそうはいきません。自戒です。

 そのようなときに,過去の経験を汎用的に応用させながら仕事ができる人が近くにいた場合,何を手伝ったら良いですかとか手伝うことはないですかとか自分にできることはないですかとか一緒にできることはありませんかとか,即時的に言葉に表すことのできる資質を持っている方は素晴らしいです。もちろん,その方にお願いすれば必ずやり遂げてくれるはずだという相互承認観と相互信頼観が醸成されていないことには先には進めないことではありますが。協働的な仕事を一緒に進めていく環境が整ってくると,その関係が少しずついわゆるあうんの呼吸になっていきます。

 次に何をしたら良いかを理解し始めるからです。あんな表情をしているときは困っているときだとか視線が左右に振れるときは何かを探しているときだからその状況からするとあれを探しているんだろうとか推測することができるようになります。いわゆる折り合いを付ける能力が備わりつつある状態に至るわけです。そこに至るまでにどれだけの時間を要するのかはケース・バイ・ケースなので,一概に結論づけることはできませんが,協働的な作業の質と量,そして目標達成に向けた集団内の構成員の有する必然性に依存します。

 そうなれば,何か手伝うことはありませんかと敢えて聞くまでのことはなく,相手の立ち振る舞い,表情,目の動き,口元の動き,呼吸の乱れ等々から,困っているのか助けた方がいいのかもう少し自力で頑張れるのかを推測することができるようになります。たとえ,その推測が間違っていたとしても,トライ・アンド・エラーによる軌道修正は瞬時にして行われるようになる文脈が整います。『学び合い』の考え方では,それら一連の経験による学びを,学校教育の日常の教科・領域,新学習指導要領では各教科等において行うのです。

 それが,我々の『学び合い』の考え方です。