信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

みんなでみんなができることを目標に

 『学び合い』の考え方を共有してもらって授業をしようとすると,はじめてのみなさまにとられては戸惑うことが多いのではないかと思っています。その一つが,みんなでみんなができることを目標に掲げることです。”で”と”が”の違いもさることながら,みんなができることが目標に掲げられていると,みんなができないと目標が達成できなかったのか,という疑問が生じます。
 ここで言うところの目標という表現には,2つの意味合いが含まれています。一つは個人の目標です。一つはクラス全体の目標です。それが同じ”目標”という言葉で言い表されるが為に,混乱を引き起こしてしまいます。『学び合い』の考え方でなかったとしても,今までの学級経営であったとしても学級目標と個人の目標があることを鑑みていただければ,理解してもらえるのではないかと独りごちています。
 さて,先にお話ししたみんなでみんなができるという目標はどちらでしょうか。学級目標に相当するものとして理解してもらえますでしょうか。そうです,クラスの目標として示すものです。個人の目標とは別のものなので,個人の目標が達成できたとしてもクラスとしての目標が達成できないことがあるかもしれません。個人の目標が達成できたとしても学級目標が達成できないことがあるように。つまり,『学び合い』の考え方では,毎単位時間,学級目標に相当するみんなができるという目標を掲げながら,毎単位時間,その学級目標に相当するみんなができるという目標の達成状況を評価していく挑戦です。学級目標の場合,毎単位時間,評価することなどまずないでしょう。そこが大きな違いと言えば違いです。
 単位時間において,個人の目標が達成できたとしてもクラスの目標が達成できなかったとしたら,それで良いのだろうか,と投げかけるのが『学び合い』の考え方です。まだ個人の目標が達成できていないお友だちが残っているのに,あなたはその子に対して何をしてあげられるのだろうか,それを考えてみようよ,と語りかけます。