信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

理科の能力獲得の難しさ

 理科では,特に生物的領域においては,過小般化と過大般化が起きることがよく知られています。我々は理科の授業で具体的な事例を通して様々なことを学びます。自然の事物・現象について,限られた時間の中ですべてを学ぶことはできないので,典型的な事例を通して学ぶことになります。その典型的な事例から,一般化して,きまりや規則,法則性を導き出して学んでいます。
 ところが,一般化すべき所をそれよりも小さな範囲少ない範囲で一般化してしまう現象が過小般化です。一方,一般化すべきところをそれを超えて一般化してしまう現象が過大般化です。
 小学校で学ぶ子どもたちは過小般化することが知られていて,それを改善する指導も確立されていない現状です。かつての教育観に基づけば,年齢が上がるとともに発達段階も上がるので,ほおっておいても自然に問題は解消されるというものでした。しかしながら,成人になっても過小般化のままであることが実証されています。過小般化のまま,科学リテラシーが十分とは言えず,自らの認識が変化しないのです。
 理科における能力の獲得は,発達段階とともに成り立つ物ではなく,それほど単純ではありません。