信濃の国からこんにちは

信州大学教育学部の三崎隆です。私たちの研究室は『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

科学的に探究する力を育てる-大学編:卒業研究-

 教育学部で理科のコース・専科で学ぶ学生のみなさんの卒業研究が,理学部の各学科等で学ぶ学生のみなさんの卒業研究と同じではないか,どこが違うのかが話題になることがあります。確かに,発表だけを見ていると内容的に同じように見受けられるので,両者の相違性を見つけることは一見難しいように思われます。
 昨日,理科の目標を書きましたのでお分かりと思いますが,科学的に探究する力を育てることです。教育学部で学ぶ学生のみなさんは中学校理科免許及び高等学校理科免許の取得し,中学校の理科の教員ないしは高等学校の理科(免許法上,物理,化学,生物,地学ではありません)の教員を目指しているみなさんです。理学部の学生のみなさんは理科ではありません。学術的に特化した領域で学んでいます。
 したがって,教育学部の学生のみなさんには,科学的に探究する力を修得してもらう必要がありますので,卒業研究を通して当該の資質・能力が育っています。卒業研究を通して,科学的に探究する力が育っていることが重要です。一方,理学部の学生のみなさんの卒業研究は科学的に探究する力が育っていることも大切ですがそれ以上に学術的結果が重要です。その違いは明白です。
 私も理学部卒業なので経験上,よく分かりますが,本人の科学的に探究する力よりも学術的結果が強く求められます。そこに主眼が置かれます。教育学部では学術的結果は求められますが,その結果如何に関わらず,それ以上に将来に日本を背負って立つ人材の育成を推進してもらう上で,彼らには自分自身の科学的に探究する資質・能力を高めていく必要性が強く求められます。
 それが教育学部の理科の卒業研究と理学部の卒業研究の本質的な大きな違いです。
 先日のオープン・キャンパスで,本学部の理科の卒業生からビデオ・レターを寄せてもらいましたが,いみじくも,当該の卒業生は「卒業研究の時に,条件統制とか統計的な処理について,まだ足りないまだ足りないと言われたことがありましたが,そのときは大変だと思いましたが,卒業してみるとそれが身についていて良かった」と述懐してくれていました。まさに,それです。
 教育学部の理科の学生のみなさんに求めるのは,学術的な結果もさることながらそれ以上に,その過程で科学的に探究する力を身につけることなのです。卒業生にその力がついていること,本人が自己更新していることを誇りに思います。