信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

演繹と帰納

 科学的な探究においては推論をすることが重要な要素となります。その過程では,伝統的に演繹と帰納と呼ばれる様式に区別してきています。帰納は,共通性を見つけ,概念化・法則化・理論化していく過程であり,演繹は概念・法則・理論を基に自然事象に説明を与えたりする過程です。
 学校現場においては,圧倒的に前者の過程がなじみのあるものとして知られています。理科の授業に限らず,いろいろな事実や経験を経てそれらの中から共通性を見つけてまとめていく過程を経て学びが成立していくと考えられています。ですから,いわゆる答えは授業の最後に出てくる,まとめられるものとして位置付きます。小学校ではすべてと言っても過言ではないほど,この過程が学習の流れを構成しています。中学校になると,少し後者が登場しては来ます。
 『学び合い』の考え方では,どちらかと言えば,プロトタイプではないので一概に言及はできませんが,後者,つまり演繹的な過程を経て学ぶことがとても多くあります。必ず,言われます。どうして答えを最初に出すのですか?最初とは言わなければ,黒板に貼っておくのですか?と。学校現場では帰納的な過程を,大学生の頃から学びながらなじみの深いものとして体得していくので,帰納的な学習過程を外れるような過程をなかなか受け入れがたいものとして受け止められています。
 必要な資質・能力を修得させる上で,子どもたちにとって最適なアプローチを子どもたち自身が選択できる環境構成が重要でかつ大切であると考えます。