今から35年ほど前の私が院生であったことのことです。今でも記憶に残っている，とても印象的なことがありました。当時，私は理科教育の研究室に所属していましたが，地学が専門であったので，地学のゼミにも自主的に参加させてもらっていました。その地学のゼミで，あることについて，どのようなことであったかは忘れてしまいましたが，そのことが参加している人たちが誰も分からなくなったことがあります。
そのとき，ゼミを主管する研究室の学部の教員が，「すぐに調べてくるから」と行ってその教室を出て行って自分の研究室に戻って調べてきて，教えてくれたのです。それによって誰もが分からなかった問題が解決に至りました。その姿を目の当たりにして，私は「大学の先生でも分からないことがあるとその場ですぐに調べるのか」と思ったのです。大学の先生だからこそ，なのかもしれません。
分からないことというのは，上の立場にいる方，特に上司などの上下関係があれば尚更のことでしょうが，なかなか認めることは難しいことではないかと思うところです。そのことは以前にも書きましたが，教える側の人間には認めがたい心理が働くでしょう。それをその場ですぐに調べて解決しようとする意欲と態度に感銘を受けました。今でも，そのことが自分の基本となっているようです。
分からないことが出たら，その場ですぐに調べることです。学校の授業の同じこと。
