信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

同じ結論に至る過程と根拠は一人一人違っている

 みんな違っていて当たり前です。考えても見れば,40人いて40人がすべて同じであることなどあり得ないことです。頭の中は見えないだけに,そこで思考判断される事柄が違っていて当たり前であることがなかなか理解しづらいことがあります。たとえ,結論が同じであったとしても,そこに至る過程や根拠は人それぞれです。
 日本の学校教育の場合,同じ結論を求める機会が星の数ほどありますから,同じ結論になるとあたかもそこに至る過程や根拠も全員が同じであるという錯覚に陥ることがしばしば起こってしまうから不思議です。結論が同じであったとしても,そこに至る過程や根拠を丁寧に時間をかけて全員に聞いていくと,40通りであることが分かります。現実的には,それをかなえる時間的な余裕がない,精神的なゆとりもないのでしょうが,ころからそのような錯覚を引き出しているのではないかとも思えるほどです。
 よく聞いてみると,同じ結論であったとしても,隣の子は自分の考えたことよりももっと効率的で分かりやすい道を辿っていたと言うことがよくあります。だからこそ,違っていて当たり前のところから学ぶことが星の数ほどあるのです。
 結論が同じであったとしても,そこに至る過程や根拠は,なにも教科書に書いてあることだけが正解なのではないことが多くあります。裏には多様な正解が隠されていることを推測できるだけの時間的な余裕と心のゆとりを持ちたいものです。「どうしてそのように考えたの?」と。