信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

感動を呼ぶ返却

 先日,学部の授業で感銘を受けた出来事です。小学校免許取得を目指す受講生のみなさんと一緒に授業づくりをしています。そのために,はじめての対面にて集まってもらって14のグループに分かれて作業を進めてもらいました。
 そのときの資料として,昨年度から全面実施となった学習指導要領に則った教科書を14のグループ分用意させてもらいました。教科書会社は6社ありますから,特定の教科書会社のものだけでなく,6社とも均等に用意したものです。ですから,どのグループがどの教科書会社の教科書を選ぶのかは分かりません。
 したがいまして,14の各グループのみなさんの手元に,小学校第3学年から第6学年までの4冊の理科の教科書が1冊ずつ渡ることになります。私は使用前の冊数と教科書会社が分かりやすいように,教科書会社ごとに分けて,さらにその教科書会社について,上から順に第3学年→第4学年→第5学年→第6学年と重ねておきます。それを整然と並べます。分かりやすいように。
 問題はここからです。講義が終了すると,使用した教科書をあった場所に返却します。通常ならば,①返却はバラバラとなるのが通例です。返却位置はバラバラ。つまり最初にあった場所とは異なる場所に置かれます。通常ならば,②4冊の教科書の重ね方も,バラバラ。つまり,私が上から順に重ねて置いた第3学年→第4学年→第5学年→第6学年という順序になって戻ってくることなど,一度もありませんでした。そして最後に教科書の向きです。使ってもらう前は,向きをそろえて貸し出します。14セットとも,4冊すべて上下左右をそろえて貸し出します。どの教科書会社の教科書の第何学年の教科書を何冊貸し出したのかが一目で確認しやすいように,です。ところが,通常ならば,③教科書の向きもバラバラ。つまり,教科書の上下左右などそろって返却されたことなど一度もありません。
 それは,小学生でも中学生でも高校生でも大学生でも,です。もちろん,成人でも,です。ちなみに,成人(現職)を対象にして出前授業をした経験がありますが,そのときの返却のされ方もバラバラでした。返却してもらってから私が自分で上から順に並べ替えて,上下左右をそろえて貸し出し分が返却されているかどうかを確認するのです。
 しかしながら,人生で初めて,です。14セット貸し出した教科書,総冊数56冊すべてが,整然とそろって返却されたことは。涙が出ました。凄い受講生66名です(教育実習中と欠席がいたので若干少ないですが)。
 授業が終わるといつも貸し出した教科書を1冊ずつ確認します。教科書会社と学年と冊数を,です。そろっていると確認しやすいのですが,通常ならばそうでないのでいつも苦労します。ところが,先日の講義は簡単でした。
 ①返却は元の位置ぴったりです。あったまま,貸し出したままの状態で戻されていました。まず,それに感激!続いて,各教科書会社の各学年の教科書がそろっているかどうかの確認を始めると,...②4冊の教科書の重ね方が14セットともに見事にそろっています。上から順に第3学年→第4学年→第5学年→第6学年です。下から順にではないところが凄いところです。私のそろえたそのままの状態で返却された証拠です。その上,③上下左右も見事にそろっているのです。
 こんなこともあるのか,としばし呆然としました。彼らの名誉のために,私が貸し出し前にそれに関することをほのめかしたことは全くありません。何も話していませんし,指導もしていません。本当にびっくりです。凄い受講生たちだと心底思いました。彼らと一緒に学ぶことのできることを幸せに思います。