信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

獣道

 山に入ると,獣道があることが知られています。地質調査にフィールドに行くと,尾根まで上って帰りに調査しながら戻ってくると,いつのまにかどこから始まったのか,周りの草木が倒れていてどこか1本の道のような歩きやすい筋のような通路状の歩きやすい線が現れてくることがあります。獣道です。人間が歩くには1m前後からは周りの草木がかぶさってきているので歩きにくくなってはいますが,足下は明らかに歩きやすい”道”のようになっているのです。それだけでも,歩きやすくでほっとするものです。フィールドにいると,ブッシュをかき分けながら進まざるを得ないところに労力を費やさなくてよい点が何より有り難いことです。草木がなく誰かが歩いたであろう,それこそ細かったとしてもいっぱしの道が現れると飛び上がらんばかりに喜びます。
 研究室の窓から見ると,裏山の斜面を下から見上げているので,そんな道が斜面に左から右に続いていることなど全く分かりませんでした。ところが,先日,その斜面を1匹の白黒まだら模様の猫が左から右に向かってゆっくり目の前を歩いて行くではありませんか。えっ,もしかして獣道?と思いながら改めて斜面を観察すると,案の定,細い,本当に細い獣道が続いていました。まるで猫道のような道です。おそらく,小型哺乳類が行き来している斜面の道なのでしょう。研究室の窓からは,下から見上げている格好になるので猫が通るまで分からなかったわけです。新たな発見を,猫に感謝します。ありがとう。