先日の講義で，素朴概念の話をしました。誤概念，先行概念，代替的コンセプションとも言われる概念です。学修者にはもともと生活経験を根拠にした考えがあるというものです。毎日の日常生活から得られる膨大な生活経験による理由付けはなかなか強固であって，そう簡単に変えることができるものではありません。
もし頭の上を物体が飛行したら，飛行機でもヘリコプターでも鳥でもかまいませんが，その物体の重さを感じるでしょうか？感じることがありません。日常生活の中で起こるそのような膨大な経験から，空中に浮かんでいる物体の質量はないと導き出すようになります。
鳥かごの中にいる鳥が止まり木から飛び立って鳥かごの中ではばたいている状況を思い描いてください。鳥かごと鳥の全体の重さを測ったらどうなると思いますか？羽ばたいている鳥の重さはどこにいくのでしょうか？
考えてみれば，私の研究室は５階建ての建物の３階にあります。この部屋の上には何十トンという重さのコンクリートやさまざまな実験器具が数多くあります。しかしながら，その重さを感じることはありません。いったい，その重さはどこにいくのでしょう。考え始めると面白くなってきます。
