信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

Can I help you?

 困っているお友達がいたら助けてあげる文化,困ったら助けてもらえる文化を創ってほしいと願っています。しかしながら,助けるという行動が難しいことも事実です。助けてあげようと思って助けてあげたと思っていても,相手にとっては助けてもらっていると思われていないこともあるからです。小さな親切大きなお世話とよく言われるくらいです。
 一方で,助けてほしいと思って助けを求めたところ,誰かが助けに来てくれたのですが,相手の助けが自分にとっての助けにならなかったということもあるからです。相手にとっては自分を助けているつもりであっても,自分にとっては全然助けてもらっていないことも往々にして生じます。それだけ,助ける行動や助けてもらう行動は難しいことを感じます。
 助けてあげるときに,困っている相手に自分はいったい何をしてあげられるのかを考え判断して,行動を取ることができるようになると良いと思います。それもトライ・アンド・エラーを起こすでしょうから,トライ・アンド・エラーを繰り返すことによってより良いアプローチの仕方,折り合いの付け方を学ぶのです。
 「自分にできることはありませんか?」「自分にできることが役に立つ人はいませんか?」がコツです。あくまでも,主役は困っている人です。困っている人が自分にとって有益となる情報を自分で選ぶことのできる文化が重要でかつ大切となります。英語では,Can I help you?となります。困っている人に選んでもらえるような存在でありたいですし,あってほしいと願います。
 『学び合い』の考え方を使った出前授業の前に行うオリエンテーションでは,じゃんけんゲームをします。そのときに,みんなでみんなができるためのコツを披露します。それが「ぼく,グーだしてあげるよ」です。まさに,それです。授業の時でもそれに相当する行動を取ることができるようになるといいなあと思うところです。
 したがって,困っているお友達がいたら,助けてあげるのではなく,困っているお友達がいたら,自分にできることをしてあげる文化,ないしは,自分にできることが役に立つ人はいませんかという発信のできる文化と言い換えた方が良いのかもしれません。一つの折り合いの付け方です。もう一つの折り合いの付け方は一緒に考えることです。