信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

人を育てることは難しい

 子育てをされておられるみなさまであれば,良くお分かりのことと思いますが,人を育てることは難しいことです。
 最初は,先導しながらぐいぐい引っ張っていくことも必要でしょう。時には,後ろに回って,後ろから背中をどんどん押してあげることも必要でしょう。しかしながら,いつまでもぐいぐい引っ張り続けることはどうなのでしょうか。いつまでも背中をどんどん押し続けてあげることはどうなのでしょうか。
 どこかで併走しながら共に進んでいくことが必要なのではないかと思いますが,いかがでしょうか?議論の分かれるところかもしれません。人はいつかはリタイアします。リタイアした後はいったいだれがぐいぐい,どんどんし続けるのでしょうか。ぐいぐい,どんどんできる人間がいなくなった場合には,自分で自ら歩んでいかなければならないことは自明です。まあ,その方の代わりにぐいぐい,どんどんし続けてくれる代わりの方が現れることもあるかもしれませんから,一概には言えないことかもしれませんが。
 その併走に移るタイミングが難しいのです。認知的徒弟制の段階の一つに,スキャフォールディングと呼ばれる足場づくり理論があるくらいですから。徐々に併走に移る,その”徐々に”が極めて難しいです。子育ての場合は,一度きりで失敗が許されませんから尚更です。
 育ててもらっている側からすれば,いきなりはしごを外されても困るので,先の見通しを持たせながら少しずつ少しずつその帰来をみてタイミングを外さないように移行していくことが肝要です。言うは易く行うは難し,です。