信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

スキーの季節がやってきた

 スキー授業の季節がやってきました。雪国では小学校第1学年からスキー授業があります。今年はコロナ禍の下なので難しいかもしれません。かつて,中学校現場で理科と保健体育の教科横断的な試みをしたことがあります。スキーの技術とその科学的な根拠についてです。一例を挙げれば,ボーゲンやシュテム・ターンをするときに,なぜ体重移動をしなければならないのかについて理論的に理科で学びます。それを技術的に保健体育で学びます。
 理科では,黒板やホワイト・ボードにスキーの絵を描いて,体重移動のコツを科学的に解説します。ポイントを講義しながら子どもたちの理解を促します。理解できたかどうかは紙媒体でのテストで把握できます。黒板の前で,実際の体重移動を模範演技として見せてあげます。体重移動の様子を絵で表してテストしてみます。子どもたちが全員満点を取りました。さて,子どもたちは滑ることができるようになるでしょうか?
 授業者がいくら何度も繰り返して黒板に書いてスキー上達のコツを解説したとしてもテストで全員が満点を取ったとしても,子どもたちにさせてみなければ子どもたちは分かりませんし,できません。何度もトライ・アンド・エラーさせてみなければ分かりませんし,できないことは自明です。
 そのスキー授業で困らないようにするためには,就学前から家の周りの雪と戯れ,慣れてきたらスキー場に連れて行って,ソリから滑らせます。ソリに慣れたらスキーを履かせて歩かせます。一緒になって少し滑ってみます。転びます。起こしてあげてもう一度一緒に滑ります。また転びます。また起こしてあげてもう一度一緒に滑ります。転んでも褒めてあげます。なんとか一人でちょっと滑ることができるようになったら,滑る距離を少しずつ長くして試します。もっと褒めてあげます。そう,トライ・アンド・エラーです。その繰り返しです。
 それを繰り返していると,いつの間にか,そう本当にいつの間にか,ふっと後ろを振り向くと,いつも遠くで私の指示を待っていたはずなのに,すぐ後ろから付いてくるようになります。とおくであれしろ,そんなことしちゃだめ,もっとこうやって,と言っていてもうまくはなりません。トライさせてエラーして,またトライさせてエラーしての繰り返しです。そうやって,はじめて理解し,滑ることができるようになるのです。教師がレールを敷いていたとしてもスキーは絶対に上達できません。エラー覚悟でトライさせてあげなければ,それを繰り返させてあげなければ,その余裕を持たなければダメです。
 スキーの話をすると,理解してもらえます。毎日の授業でもやってみましょう。