信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

本当によく分かっていないとできないこと

 主に小学校低学年の子どもたちを対象として,科学に関する彼らのいろいろな素朴な疑問に答える電話相談室の番組があります。全国から専門領域のトップが集って子どもたちの質問に応えます。この冬休み期間中は特番が組まれているようです。小学館はこの冬休み期間中に,世界の歴史全17巻を無料公開しています。子どもたちのための様々な取組が有り難いことですが,大人が聞いたり読んだりしても多くの学びを得ることができて有意義な時間を過ごすことができます。
 科学に関する番組を聴いていると,子どもたちに分かりやすく説明することが難しいことがよく分かります。専門家が質問してきた子どもたちに,「分かる?」と尋ねると子どもたちは「はい」と答えてくれていますが,専門家の説明を分かる子どもたちも凄いと思います。時には,専門的な用語を使って説明するのですから,それを理解するだけでも至難の業です。素朴な質問ほど,答えるのが難しいとよく言われますが,まさにそのとおりです。
 相手に説明すること,特に小学校低学年の子どもたちに分かってもらえるように説明するためには,自分自身が本当によく分かっていないとできることではありません。英英辞典がありますが,特定の単語を別の平易な表現で分かりやすく説明したものです。それと同じことを,小学校低学年の子どもたちへの説明ではしなければならないのですから,大変な作業です。それも,そのときの質問に即座に対応しなければなりませんから,自分自身の中での言い換えを通して,メタ認知が起こります。
 その意味においては,ものごとを理解する作業というのは,自分自身のための’英英辞典’つまり言い換え辞典を作る作業をしていることであるとも言い換えることができそうです。アウトプット作業が物事を理解する上では欠かせないのです。