信濃の国からこんにちは

三崎隆です。私たちは『学び合い』(二重括弧の学び合い)の考え方を大切にしています。

前に進むべき次の一歩

 教育研究において,成果を上げることは簡単とは言いませんが,奮闘努力の結果としての成果を上げることはある程度可能です。しかし,何度も書いてきたことですが,その成果がどの要因によってもたらされたのかを特定することは極めて困難な作業を伴います。換言すれば,結果をもたらした原因となる要素を特定することはできないと言っても過言ではないほど難しいです。

 学会では,様々な成果が披露されますが,その成果がいったいどの手立てによって挙げられたのかを厳密に議論しているものはあまり見受けられません。それだけ,教育の場合には,条件が複雑に絡み合いすぎていて,条件制御ができないのです。

 仮に,ある学校のあるクラスを取り上げたとしても,そのクラスに在籍する児童生徒のみなさんがたとえば30人いたとして,その30人の生育履歴は30通りあり,年齢も4月生まれから翌年3月生まれまで12か月の違いが存在し,条件は揃いません。ある成果が上がったとして,その成果は12か月の生育履歴の違いに依存しないのかと問われてどのように反論するでしょうか。

 教育研究の場合には,そのような揺らぎを包含した上での議論がなされてきた歴史があります。それを踏まえた上で,学会で発表された成果の数々を耳にし,今後の教育研究のひらめきを引き出すきっかけにしたいものです。

 昨日は日本STEM教育学会全国大会のオンライン開催の日でした。数多くの成果から,自分自身が前に進むべき次の一歩を踏み出す多くの学びを得ることのできた貴重な一日です。