一度示した目標はどんな理由があっても途中で変更しないことです。
変更しないということには2つの意味が含まれています。
一つは後出しじゃんけんのように,後から次から次へと加えていかないことです。もう一つは,出し過ぎたかもしれないからと言って,授業の途中で減らさないことです。
いずれも,子どもたちの様子を見ながら,授業の途中で変更することは一番避けなければならないことです。授業の冒頭に示す目標というのは,その授業でクラスの全員に達成してほしいゴールに相当するものとして設定するからです。
子どもたちの学習状況に応じてそれを変更するということは,教師としてその授業で子どもたちに対していったい何をさせたいのか,どのようなゴールに導きたいと考えているのかが疑問となってしまいます。
その意味では,途中で変更することのない目標を設定することが,目標を示すときの重要なテクニックであると言えます。もっと言えば,単元のすべての授業の目標は,その単元の一番最初の授業の時に一覧表にして配りますから,単元全ての授業の目標も途中で変更することのないように作ることが重要だということです。
目標が簡単すぎると思ったとしても,それは教師の思い込みであって実際に活動が始まってみると,分からない子どもたちにとっては分かるまでにはなかなか苦労するものです。
ですから,たとえば10分ほどでクラスの中のすべての子どもたちが「みんなができたよ,先生!」と言ったら,鵜呑みにせずに,確実にみんなができるような取組に一歩進めてあげるような言葉かけをすることです。目標づくりのテクニックで練りに練った目標が簡単すぎるなどということは決してありません。子どもたちが,そんなに早くみんなができたと主張するのは,できたと思い込んでしまっていることが多いものです。本当に分かった,できたというのは,周りの友だちに対して分かったことやできたことを何も見ないで誰にも聞かないで説明してあげることができることです。それを子どもたちに伝えることです。
それが『学び合い』の考え方です。